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2006年1月27日 (金)

子バレ問題

 官能ポルノが好きな人には、たいてい一つの難しい問題がつきまとう。「本やビデオをどうやって家族の目から隠すか」という問題だ。
 ぼくはSMが専門だが、SM愛好家は自分の妻(あるいは夫)にも内緒で活動している人が多い。まして子供には絶対に知られたくないだろう。
 ぼくの作品の愛読者から「結婚する時に集めていた本を全部処分してしまって後悔してるんですよ」とよく言われる。捨てない場合でも隠し場所に厳重にしまいこんでいる人がほとんど。
 しかし不思議なもので、隠したものは必ず見つかるものなんである。最近も、ぼくの本を集めてくれているファンの一人が「どうやら館さんの本を娘が見つけて読んでしまったらしい」と言ってきた。
 新刊を二、三冊買って、隠し場所にしまいこむ前に、まあ気をつけてはいたのが、ちょっとしたスキに発見され、読まれてしまったらしい。高校生の娘さんだというが、やはり父親としては困惑してしまうところだ。
 娘さんのほうは特別、態度が変わったということもないという。父親としては「あれを読んだのか」と確かめることさえ出来ず、知らんぷりをしているのも白々しいし、どういうふうにしたものかと相談したかったらしい。
 ぼくとしても答えようがない。覆水は盆に返らずだ。「もしショックを受けたら態度に出るはずだけど、そうじゃないのなら安心していいのでは」ぐらいしか言えないよね。
 SMの世界に入ってきた人にきっかけを聞くと、「親兄弟が持っていたSMの本を見て」というのがとても多い。実はぼくもそうだ。
 子供だっていつかはSMという行為があることを知る。早いか遅いかだけの問題で、少しぐらい早く知ったからといって、その人の人生がめちゃくちゃになったりはしないだろう。娘さんだって、すでにそういう情報の洗礼を浴びているかもしれない。それに、ぼくの本を読んだのなら絶対に面白いと思ったはずだから、ぼくとしては「ファンが一人増えた。しめしめ」とほくそ笑んでいるのが本心なのである。

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2006年1月20日 (金)

男は顔じゃない

 女性ライターのMちゃんとバッタリ顔を合わせた。いま三十代半ば、「恋多き女」の見本のような女性で、彼女に紹介される相手はいつも絵に描いたようなイケメン。連れてない時は必ず携帯にとりこんである最新のボーイフレンドの顔を見せて自慢してくれる。
「今はどんな男の子とつきあってるの?」と聞いてみると、今回ばかりはちょっと微妙な照れたような顔して口ごもった。
「それが……、とーってもぶっさいくな男なの!」
 ぼくはちょっと信じかねた。
「またまたー、他でもないキミがブス男くんとつきあうわけないでしょう」
「いや、それがホントにホントなのー。私自身、『この私がなんでこんなブ男と!?』って信じられないぐらいなんだからー」と言う。
「じゃあどんな顔してるのよ、見せてよ」と言うと、例によって携帯を取りだして見せてくれた。
 うーむ、なるほど。中年のかなりハゲたおっさんが写っている。どこにでもいるような、人はよさそうなおっさんだ。確かにハンサムではない。ふた目と見られないブ男ではないけれど、彼女のこれまでのお相手からは二、三ランクは落ちるだろう。
「ふーん、うーむ……」とぼくはコメントに詰まった。あまり率直に言ってご機嫌を損ねられても困る。とりあえず、「これまで見せてもらったなかでは、最年長だね。こんな年上が好みとは思わなかった」と言ったら、
「違うの。これで私より年下なの。老けて見えるのは若ハゲだから」
「ぎょえーッ?」
 今度は目を疑った。そう言われてみれば、顔全体は若い。髪が後退してるせいでグンと老けて見えてしまうのだ。
「ねー、ひどいでしょ」と言う彼女はそれでも何だか嬉しそうだ。絵の仕事で知りあって、最初はあまりに自分の好みと違うので、まさか彼と恋に落ちるとは思ってもいなかったが、何度か会ううち、ごく自然にデキてしまったのだという。
「彼は彼で自分はブ男でハゲてるから絶対に恋人は出来ないだろうと諦めていたんだって。今は私という女がいて、した後は『いま死んでも本望だ!』って言うのよー」
 聞けば彼はある方面では傑出した才能の持ち主なんだそうだ。ただのイケメン男とは違う生活力もあるし精力も逞しいという。
「ブ男で若ハゲで……」と嘆いてみせるMちゃんは、けっこうまんざらでも無さそうである。彼女もついに「男は顔ではない」と分かるイイ女になったのだな〜。ぼくもなんだか嬉しかったね。

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2006年1月13日 (金)

男が「買われる」

「入金を拒否しますか?」というタイトルのメールが届きだした。スパムと呼ばれる、無差別に勧誘してくる迷惑メールの一つだ。たぶん皆さんのところにも届いているのでは。
 最初はびっくりするよね。「えッ、何のことだろう?」と思う。誰かがぼくにお金を払おうとしているわけだから。
 開いて読んでみると、ある人妻がぼくにお金を払いたいのだという。契約金を払います、月々別にまたお支払いします。まずお金をゲットしませんか、という内容。「よく考えたなあ」と笑ってしまう。(笑)
 ここ数ヶ月、このようなスパムメールがやたら増えてきた。内容は決まって「女性がセックスしてくれる男性を求めている。してくれたらお金を払う。ウチの会員になってくれたらそういう女性を紹介する。登録してみないか」というもの。中には女性の名義で「私は美人でもないし若くもない。でも性欲はある。男性と違ってどこかで性欲を満足させようとしてもなかなか出来ない。セックスしてくれたらお金を払うから、契約してくれないか」というのもある。同じようなのが毎日何通もしつこく送られてくる。
 やりたい盛りの若者だったら「えーッ、女とやれてお金がもらえるのか。それだったら申し込んでみようか」と思うかもしれない。まあ人のことは言えないが、ある程度の人生経験を積んできてそう簡単にボッキもしなくなってくると(情けないが)「世の中、そんなうまい話があるわけない」とまず思う。皆さんもそうだろう。
 実際に申し込んでみたことはないが、だいたい想像がつく。何やかやの理由でまずお金を要求され、払い込んだらそれで終りだ。でなければさまざまな個人情報を奪われて(メールアドレスから銀行口座番号まで)それを悪用されることになる。
 ぼくの知ってるケースはこういうのだ。「金持の女性を紹介してくれる」という組織に入会して、実際にある女性とホテルに行ったら、いきなり彼女が怒りだして帰ってしまった。そのあとに怖いお兄さんが出てきて「おまえのおかげで上得意のお客さんを失ってしまった。どうしてくれる」とすごまれた。びっくりするような額の金を払って許してもらえたというが、まあ、うまい話というのはそんなもんなんである。じゅうぶん気をつけてほしい。

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2006年1月 4日 (水)

官能作家の初夢

 2006年はどんな年になるだろうか。幸い景気は上向きなので、ぼくなんか「金回りがよくなればいいなあ」と、極めて現実的なことしか考えられないのだけれど、あえて「夢」を抱くとしたら「本がまた売れる時代になれ」という願いが叶うことだ。
 90年代の後半から紙の本はどんどん売れなくなった。出版不況で作家やライターも苦しめられてきた。
 原因は出版界の構造改革が遅れたことだとぼくは思う。うまい具合に本が流通しなくて読者が本と接する機会、買う機会が得にくくなっているのだ。たとえば書店の店頭で欲しい本が見つからない。仕方なく注文すると何週間も待たされる。急いでいる時は間に合わない。書店もどんどん減ってしまった。
 そのダメな部分をカバーするように勃興してきたのがインターネット通販だ。『アマゾン』のような書籍やCDを扱うIT企業が急成長してきたのは、購読者が便利なシステムを整えてきたからだ。オンラインで本を注文するとふつう二、三日で届く。送料も気にならないぐらい安い。書店が近くにない人たちはこれでグッと本が買いやすくなった。
 ぼくはネット通販が始まった頃、「官能ポルノ本はこれでガンガン売れるようになるぞ」と信じて疑わなかった。
 官能やポルノは題名も表紙も刺激的だ。欲しいと思っても書店でレジに持ってゆくのが恥ずかしく、気おくれしてしまう。ぼくだって自分の本が買いづらい。(笑)
 これがネット通販だと、なんの気がねもない。今まで買いそびれていた層が買ってくれるようになるから、官能ポルノは売り上げが伸びるはず――そう期待していたのだが、ぼくが予想していたほどにはネット通販の売り上げは遅々として伸びてくれなかった。やはりパソコンを使いインターネットを使いこなせる層が絶対的に少なかったのだ。
 しかし去年あたりからネット通販の利用者数は爆発的に増加してきている。オンラインで売れる本は書店を抜きそうな勢いだ。06年は完全に抜いてしまうだろう。
「本はネットで買う」と思う人がここまで増えてくれたらもう大丈夫。出版界、特に官能ポルノ部門はこれで息を吹き返すこと間違いなし。ぼくの本もインターネットでどんどん売れるはずだ。ああ、未来は明るい。(笑)皆さんもネットを利用しておおいに官能ポルノを買って楽しんでくださいね。

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2006年1月 3日 (火)

「やばい」は「すてき」

 言葉の意味というのは、時に変わってしまうことがよくある。
「エッチ」というのもその一つで、大正期に女学生の間で流行った時は「H」と書くのがふつうだった。
「HENTAI=変態」の頭文字で、当時の変態性欲ブームが影響して、最初は「変態的な人物、行動」を指したのだろうが、これまでは「淫らな、エロティックな、いやらしい」という意味で使われてきた。
いまの中年世代までは、その意味で用いていただろう。「あいつは酔うとHになるからなあ、周りが気をつけないと」のように。
 ところが八十年代を過ぎてから、若い女性、少女たちが「エッチする」という動詞の形で使うようになった。この場合の「エッチ」はズバリセックスを行うこと、性行為そのものを指す。だから「おじさんはエッチだからエッチしたくない」なんて言い方も過渡期は可能だった。いまは「いやらしい」という意味で使われるケースは少ないのではないだろうか。
 最近、同じように意味が変わってきて、ぼくのようなおじさん世代が「あれれ?」と驚くのは「やばい」という言葉だ。
「やばい」は「いやあぶなし」が変化したものだと言われている。要するに危険がさし迫っている状態。
「おい、そこまで鉄筋減らしてやばくないか。地震がきたら倒れちまうぞ」というふうに使われてきた。ここまでは誰もが知ってることで、説明するのもバカバカしい。
 ところが最近、実は十年ぐらい前から、そういう意味ではない「やばい」が若い世代によって使われるようになった。知ってる人は知ってるだろうけど、知らない人もいるかもしれない。それはやばいことなので、以下に書くことをよく読んでください。(笑)
「あの店のラーメン、やばいよね。クセになる味なんだ」
「あ、おじさん。やばい! そのテクニック、メロメロになるぅー」
 若い人のそんな言い方を耳にしたり言われたりすることがあったら、それは専門家の間では“肯定やばい“と言われる新用法の「やばい」である。
 危険が迫ってるわけではなく、彼ら彼女らは「びっくりするぐらい、いい」「ドキドキするぐらい、すてき」という肯定的な意味で使っている。ベッドで女の子が「やばい」と叫んだ時は、「危険日だ」ということではない――かもしれないので、あまりギクッとしないように。

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