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2006年12月 8日 (金)

荷風の未公開ポルノ

 永井荷風といえば文化勲章をもらった文豪でありながら、『四畳半襖の下張り』という、きわめてすぐれたポルノ小説を書いた人だ。
 1959年に79歳で亡くなったが、生前、もう一編のポルノ小説を書いたことが知られている。荷風の日記『断腸亭日乗』の1948年1月3日の項に「春本濡ズロ草紙を草す。また老後の一興なり」と記されているからだ。しかし荷風の生前はもちろん、死後もその作品は発表されなかったし、その作品が存在するかも定かではなかった。ところが1986年になって、その抜粋がある雑誌に発表され、ようやく『ぬれずろ草紙』と題された荷風ポルノの概要が分かった。
 荷風がこれを書いたのは戦後の混乱期で、巷にはパンパンと呼ばれた米兵相手の娼婦が横行していた。『ぬれずろ草紙』のヒロインは、パンパンに混じって米兵相手に乱交を繰り広げる若い未亡人の話だった。
 しかも彼女は戦死した夫がまだ生きている時に、強盗に襲われて夫の目の前でレイプされるという体験がある。おかげで夫婦とも変態露出プレイの快感に目覚め、いろいろ快楽を追求してきたという過去がある。そのあたりが後半、回想シーンとして描かれている。つまりSMっぽいの好き未亡人が相手かまわず進んで股を広げてやりまくる過激なポルノなのだ。
「お、それって面白そう!」と思うでしょ。(笑)
 いや、雑誌には、穏当なところだけこま切れに紹介されているのだけど、『四畳半』が格調高い文語体なのに『ぬれずろ』は口語体。読みやすく分かりやすく、いやらしい部分は徹底的にいやらしい。荷風も発表を前提にしていないからのびのびと筆を走らせていて、ポルノが氾濫している今でもどぎついぐらいの描写だ。著作権者のかたが「これは発表できない」と思ったのは当然だ。文豪の名を汚すことになるしね。
 しかし、荷風というのはひどく高潔かと思うと信じられないぐらい卑俗な面を見せる、二面性の作家だった。その人間性を研究するためにも、『ぬれずろ草紙』の完全版をどこかで出版してくれないものかと、ずっと願っている。ああ読みたい読みたい。死ぬまで読みた〜い。

(画像は、秘蔵されている『ぬれずろ草紙』原本。一と二の二冊に分かれている。
『永井荷風ひとり暮らしの贅沢』(永井永光ほか、新潮社より))

Kafu_nurezuro

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コメント

HP読ませていただいてます。

投稿: fidelio | 2016年5月23日 (月) 05時28分

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