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2009年7月25日 (土)

小説の中にある危険

 官能小説を書いてると、ちょっと考えて筆が(正しくはキーを打つ指が)止まることがある。それは「ここに書いてることをマネされたら危ないな」と思う時だ。
 ネット時代になっていろいろな読者との交流が深まるにつれ、官能小説やポルノ小説を一種の教科書のように思いこむ人が少なからずいることが分かってきた。
 そうするとSMの拷問シーンや凌辱シーンなどはうっかり書けない、と思うようになる。たとえばSM映画にもよく使われるのだが、電気を使った拷問、責めというのがある。ずっと以前、武智鉄二監督が『白日夢』という、当時としては超エロな映画を撮って話題になったが、そのなかに女性を感電させて責めるというのが出てきた。確か路加奈子という女優が裸で感電責めを受け、電圧を上げられてゆくと絶頂してしまう姿にいたく興奮した。
 以来、自分の作品にもよく電流責めを使うのだけれど、考えてみればこれはマネされたら非常に危ない。家庭用の100ボルトでも肌が濡れていたりすると感電死することも稀ではない。まあ、ぼくは少年時代から電気工作をやっていて、100ボルトで感電することは多かったけれど、あのビリビリとくるショックは実にイヤなものだ。イヤなものだから拷問や責めになるわけだが、ショック死されたらそれは殺人事件になってしまう。
 安全な電気拷問というのを考えていろいろ調べたのだけれど、致命的なのは電圧ではなくて電流だと分かった。体のなかを流れる電流の量が多ければ、30ボルトぐらいの低圧でも死に至る。「電圧が低いから安全だ」というわけでもないのだ。
 もし知識のない人が好奇心に駆られてマネをして相手を殺してしまった場合、作家が罪を問われるかというと、そういうことは無いはずだが、やはり道義的な責任はあるだろうと思う。だから作品のなかでは、出来るだけマネされないように工夫して書くことにしているのだが、それでも書いたあと心配になる。「作家がいちいちそんなことを気にしていたらSM小説なんか書けない」と言われることもあるが、ぼくは気にするほうなんである。
 だから読者のかたにはお願いしておきたい。「ポルノ小説、特にSM小説を教科書的に読まないでほしい。ウソが多いから危ないことはマネしちゃダメですよ」
 作家がこんなこと言っちゃミもフタもないんだけれどね。(笑)

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男のポルノ女のポルノ

 mixiで知り合った女性が浮かない顔をしている。「セックスをする気が失せた」なんて嘆いている。理由を聞いたらこういうことだった。
 官能小説にも興味がある彼女は、ある雑誌の告白文募集に自分の性体験を書いて応募したら、それが採用された。ところが、掲載された文章を読んで殴られたようなショックを覚えたという。
 たぶん男性のライターの手で書き直されていて、彼女の年齢職業はそのまま、元原稿の半分以上が切られて、いかにも男性が喜びそうなエッチ体験というか淫乱体験を書き加えられていたという。
「これじゃ、私って頭のなかはエロしか考えてないヤリマン女じゃないの」
 まるでレイプされたような屈辱感汚辱感を覚えてセックスにも興味が失せてしまったという。
 うーむ、その気持ちは分かるな。ものを書く人間なら誰でも、意にそぐわない書き換えをされるといい気持ではない。勝手に手を入れられると腹が立つ。彼女の場合は、さらに自分のことを「淫乱ヤリマン女」にされてしまったのだから、これはショックを受けて落ち込んでしまうのも無理はない。
 その改変された告白文を「男の読者」として読んでみると、作られたエピソードもそれなりに面白いし、告白した女性を「自分もこういう女性と知り合いたいものだ」と思われるように書いてある。つまりライターは男性読者を意識して、彼らを喜ばせるように巧みに書き換えてくれたわけだ。しかしその結果は、元の文章を書いた彼女を「辱められた」と思わせることになった。
 どうやらここに、男が望むポルノと女が期待するポルノの違いがあるんだろうと思う。男は自分の欲望の放出しか考えていないから好きにやらせてくれる女が登場したり、自分が徹底的に相手を支配して凌辱するようなポルノを好む。女の個性とか、彼女と心を通わせたいとか、そういうものはどうでもいいんである。
 女はそうじゃなくて、レイプされるにしてもどこかに「女に対する愛」が描かれていないと、興味をもてない。だから男が自分勝手にやりたい放題の凌辱ポルノなんか読まない。そう思って見渡すと、確かに、女性に喜ばれるポルノ作家の作品には「女性に対する愛」が感じられる。
 ちなみにぼくは、男性ポルノ作家としては女性読者が多いほうである。(笑)

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痴漢防止の秘策

 最近、電車のなかで痴漢をはたらいたとして逮捕、起訴された男性が、裁判で無罪になるケースが増えた。
 冤罪も問題だが、そのことで本当の痴漢を訴えにくくなるというのも問題だ。これ以上痴漢がのさばられても困る。混んでる電車に乗るときは「疑われないように」と緊張してしまうからね。
 そもそも、痴漢行為は証拠が残りにくい。だからよほどしっかりした目撃証人がいない限り、あるいは下着のなかに指を突っ込んだ状態のまま捕まえでもしないかぎり、犯人にシラを切られたら有罪にしにくい。女性を悩まし困らせる不届き男は退治しなくてはいけない。そこでぼくは考えた。
「痴漢防止用パウダー」という粉末を開発し販売するのだ。
 この粉末は特殊なもので他の場所には存在しない。少量でも化学的な分析で検知できる。しかもいろんな「型」があるようにしておく。女性は出勤のとき、この粉末をショーツにはたいておく。痴漢がもし触れたら、指先にはかならずその粉末がつく。
 痴漢容疑者が突き出されたら駅員なり警官なりはすぐに彼の指、手、腕などを濡れたガーゼで拭って保管しておく。これが証拠だ。
 もし容疑者の指や手からこの粉末が検知されなければ、彼は無罪ということになる。
 もし粉末が検知され、それが女性の下着に付着している粉末の「型」と一致したら、それが動かぬ証拠となる。冤罪の可能性はほとんどゼロに近づく。
 まあ、今でも容疑者の指先を拭って、その布を証拠として提出するようにしているのだが、必ずしも下着の繊維や分泌物が付着するわけではないし、その前に拭われてしまったら難しい。極端にいえば指を口に含まれてもダメだからね。
 ショーツに付着した特殊粉末なら拭っただけでは除ききれない。痴漢したかしなかったかは歴然と分かる——はずだ。
「もし、そんな特殊な粉末が開発されたとして、すべての女性にそれをつけさせるのは難しいだろう」と言われるかもしれない。
 いや、全員がそうする必要はないのだ。一定の割合で女性たちが使用していれば、痴漢たちは外見や触って判断できるわけではないから「この女は大丈夫」という自信はもてない。もしかしたらつけているかもしれない——という恐怖心を抱かせるだけでも、痴漢防止の役に立つと思うが、どうだろうか。

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