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2009年10月21日 (水)

男が捨てられないモノ

 高田馬場に、人が借りている事務所の一画を借りて机を置かせてもらっている。部屋の借り主の都合であっちこっちに移動する。
 今度また別の場所に引っ越すことになった。それで机のまわりを片付けて、不要なものは捨てていた。そうしたら引出しの奥からメジャーが見つかった。服を作るとき、体のあちこちの長さをはかる小さな巻き尺だ。
「うーん、まだあったか」
 この前の引っ越しから六年たつのだけれど、その時もこのメジャーを眺めて感慨に耽った記憶がある。
 そもそもはもっとずっと昔のこと、つきあっていたひとりの女性がいた。惚れていたし惚れられてもいた——と思っている。
 その彼女がある時「チャイナドレスが着てみたい」とぼくに言った。一度友達か誰かのを着て気にいったらしい。セクシーな体型なので、ぼくも似合うと思った。
「だったらプレゼントしてあげよう」と思ってあちこちを調べてみた。本格的なのを仕立てるとなったら高いけれど、横浜かどこかの専門店で「寸法を測って送ってくれたら作る」というところが見つかった。価格もリーズナブルだ。では注文しようと思って買ったのが、そのメジャーだった。
 ところが寸法を測る前に何かがあって、彼女との仲はそれきりになってしまった。決して憎んだり恨んだりしてるわけではなく、何だか知らないが疎遠になってしまったのだ。
 そんなわけで、メジャーは空しく引き出しの奥で何年も眠っている。引っ越しのたびに「捨てようか」と思っては捨てないでいる。彼女のことが懐かしく思い出されて捨てられないのだ。なにか感傷的になってしまう。
 そういう男はぼくだけでは無さそうだ。女性は男と別れると、彼に関係したものはポンポンいさぎよく捨ててしまうものと聞いた。男は違う。前の彼女、その前の彼女……、つきあった女たちのあれやこれや、記念の品、思い出の品はなかなか捨てられなくて、どっかにしまいこんである。君はどうだろうか。
「それにしたって、こんな物には価値がないよな」
 そう思って今度こそは捨てよう——と思ったのだが、セクシーだった彼女との思い出も一緒に捨ててしまうような気がして、結局はまた引出しのなかにしまいこんだのである。うーん、いつになったら捨てられるんだろ。まったく困ったもんだ。
 

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