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2012年10月28日 (日)

スカートをはいた怪物男

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(↑イラストレーションby中村成二)
 丸谷才一さんが亡くなられた。あの珠玉のエッセイ(随筆)がもう読めないと思うとガッカリだ。
 文化勲章をもらった大作家なのに、エッセイは柔らかい話題が多く、高齢作家とは思えない若々しい好奇心の持ち主だった。 
 知ってのとおり『四畳半襖の下張り』裁判では、被告だった野坂昭如の特別弁護人を買って出、堂々のポルノ擁護論をぶって世を唸らせた人だ。そっちの方面についての話題は実に豊富で、エッチなネタを分りやすく面白く解説してくれる技量はまさに名人芸。ぼくは彼のエッセイで実に多くのことを教えられた。
 これから書く「怪物男」も、エッセイで知った情報のなかの一つだ。供養のためにここに紹介してみよう。以下は『猫のつもりが虎』(文春文庫)の『男のスカート』のなかに書かれていること。
 まず、その怪人についてはこう説明されている。
《彼は妻帯者だつたが、たびたび姦通をおこなつた。場所としては自分の家。女中に手をつけるのが好きだつたし、それ以外にも、知り合ひの男の妻や恋人を見るとたちまち気持を動かすたちだつた。近親相姦もした。相手は二人の妹および三人の娘。獣姦も試みた。相手は犬……》
 実の妹や実の娘や犬まで犯すのだから、これはもう鬼畜と言うしかない。現代なら犬も含めた性的虐待で糾弾され葬りさられること間違いなし。「そんなやつなら、きっとひどく野蛮で粗野で下品な男だろう」と誰もが思うに違いない。
 違うのだ。この怪人の名はエリック・ギル。二十世紀初頭のイギリスで活躍した工芸家。活字デザイナーであり(そのフォントは今でも広くに使われている)、彫刻や木版画の巨匠でもあった。ネットで調べれば業績はちゃんと記されている。人間国宝級の偉大な芸術家だったんである。
 しかも、このギルという男、敬虔なキリスト教信者で倫理道徳を説き、礼儀作法を大事にすることで知られていた——というからますます驚きである。
 ギルは『衣装論』という著作のなかで「男もスカートをはくべきだ」と主張し、実行もした。まあ僧服みたいなもので別に女装というわけではない。丸谷さんはその理由を「そのほうがエッチするには便利だからだろう」と推測している。確かにセックスは、ズボンを脱ぐよりスカートをまくるほうが簡単だものね。
 丸谷さんには、こんなびっくりするような話をもっと教えてもらいたかったが……。合掌。
(画像はエリック・ギル。背後の文字は彼が考案したフォント。現在も使われている)
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