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2013年11月22日 (金)

「女流」は性差別?

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(イラストレーション by 中村成二)

 作家は、原稿を書き上げたあと、もうひと仕事がある。校正だ。ふつうは元原稿をそのまま活字にしたのをプロの校正者が見てチェックした「ゲラ刷り」というのが送られてきて、作家がまた見直して手を入れる。これを「著者校」という。

 作家は何でも知ってるわけではないし、事実を思い違いしていることもある。誤字脱字、ヘンな文章になってる部分もある。そこをていねいに直してくれるから、校正者というのはありがたい存在なんだけれど、ときどき、「えッ、どうして?」というチェックが入る時がある。最近、特に厳しいのは差別的表現の有無。先日、送られてきた長篇のゲラでは、「肉屋」が「食肉店」と直されて、「『○○屋』という言い方は差別語です」と書き添えられていて、びっくりした。

 あわててネットで調べてみたら、主にテレビラジオの業界のことで「本屋」は「書店」、「魚屋」は「鮮魚店」、「花屋」は「フラワーショップ」と言わなければならないんだそうだ。その規制がだんだん出版の世界にも入ってきている。やがては全面的に使われなくなるかもしれない。じゃあ「便利屋」や「殺し屋」はどうしたらいいんだ。

「ずいぶん窮屈になったなあ」と思っていたら、「女流画家」という部分にもチェックが入っていて、これにも驚いた。「女流○○」というのは差別語で、画家なら「女性画家」にしないといけないというのだ。

「そんなバカな! 女流棋士は新聞でも使っている」と、訂正には応じなかったけれども、「男流」が無いのに女性だけ「女流」というのは性差別的だ、という考え方がひろまっているのだそうだ。

 まあそれは確かにそうだけれど「女流」は「女流歌人」とか「女流作家」など文芸や芸能の世界に限定されていて、優雅な語感を与えてるから差別にはあたらないと思うんだけどねえ。官能作家の内藤みかさんは「私なんか『女流』と言われたほうが嬉しい」という人もいる。うん、女性官能作家より女流官能作家のほうが、なんかエロっぽいよ(そう思わせるのが性差別だ、と◯られるところなんだろうけど)。

 差別的表現はいけないけれど、「○○屋」とか「女流○○」というのまで制限されるとなると、表現の幅が狭められてしまうし、妙なことになる。ふつうの会話で「そこのフラワーショップの隣の鮮魚店」なんて言わないからねえ。あんまりモノ書きをいじめないで。

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2013年11月14日 (木)

男は何歳までやれる?

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(イラストレーション by 中村成二)
 この『いろ艶筆』の原稿を書くのは、いつも夕方、たそがれ時である。特に晩秋の今ごろは夕暮れが早く来て、なんとなく憂鬱になる時間で、そういう時だからこそ「読んで気持が明るくなる話題」を選びたい。
 さて、今回の話題は読み終えて明るくなるようにもってゆきたいが、果たしてどうなることやら。
 最近、渡辺淳一氏の話題作『愛ふたたび』というのを読んだ。話題になったというのは地方新聞に連載ちゅう「描写が過激だ」と抗議や批難の動きがあって、連載を中断した地方紙が何紙もあったからである。
 一読すれば「これが過激だなんて、読者はいったいどこを読んでるのか」と思う内容である。何せ、老齢の男性がインポテンツになって悩む話なのである。作中、主人公は一度もセックスしていない。挿入が不可能になってしまった男の話なんだからポルノ以前の問題である。
 読んで考えさせられたのが、バイアグラを使っても勃起しなくなった主人公の年齢が72歳だということ。読んでる私も、いずれそう遠くない未来に同じ年齢に達する。「72ぐらいで完全にダメになるのか?」と、つい恐れおののいてしまったではないか。
 女遊びに耽り好色の限りを尽した情痴作家、永井荷風がその日記に「この夏より漁色の楽しみ尽きたれば徒(いたずら)に長命を嘆ずるのみ」と書いたのは、満65歳の誕生日であった。かなり執拗に性を追究し女体に執着した作家にして、65歳で「もうダメだ」と嘆じたのは、当時としてはそのあたりが限界だったと思っていいかもしれない。
 ところがバイアグラなどの勃起促進薬の発明が男の「限界」を大きく延長させた。私の周囲でも70代をゆうにこえてセックスを愉しんでいる男性は多そうだ。もちろんバイアグラを使っている。
 ちなみに昨夜は80歳になられた官能小説評論家のN先生と会食したのだが、「バイアグラを使って二ケ月に一回はやってるよ」と平然と言われた。ネットで調べても80歳を超えてちゃんとセックスが可能な男性は、そう珍しくない。
 とすると渡辺淳一氏が『愛ふたたび』の主人公男性を72歳で完全インポにしたのは、ちょっと早すぎないかという気がする。私はもう少しがんばってN先生ぐらいまではセックスを愉しみたいと思うが……さあ、どうだろうね。

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2013年11月 7日 (木)

女は壁ドンがお好き

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(イラストレーション by 中村成二)

 ネット上某所で「女が考える理想的なセックス11パターン」という記事が目に留まった。男にとって女とは、いつまでたっても「どうもよく分からん」生き物なので、ヒントになることなら何でも知っておきたい。しかも私もよく知ってる女流官能作家、深志美由紀さんが「教える」というのだから、そこは目を皿のようにして読みましたですよ。
 ここで深志美由紀先生は「ТL作家」という肩書きだった。TLとはティーンズラブのことで、恋愛ストーリーをベースにしながらも、濃厚なベッドシーンや露骨な性描写が描かれている漫画のカテゴリーの一種。昨今は、TL小説も電子書籍を中心に人気を博している。そして、このTLに描かれているセックスこそが、アダルトビデオまみれのおじさんが知らない、若い女の子の胸キュンセックスなんだという。
 うーむ、ぼくぐらいのおじさんは教えてもらっても役に立ちそうがないが、若い人は知ってたほうがいいかな。で、読んでみたら。11のテクニックとは次のようなものだ。
(1)瞼にキス(2)髪を撫でる(3)壁ドン(4)顎を指でくいっとあげる(5)手首を掴んでキス(6)首筋にキス(7)耳を愛撫(8)男は服を脱がない(9)女は服を着せたまま愛撫(10)膣への愛撫はぎりぎりまで(11)挿入しながらキス
 なるほど、ギラギラ欲望ムキ出しで強引に迫っては、若い女の子が胸キュンとなるようなセックスはできないってことか。しかし、これぐらいのことだったら、おじさん達だって若い男の子に負けないぐらいには出来ると思うぞ。なんだカンタンじゃないか——、と思ったけれど、一つだけ意味が分からん言葉があった。(3)の「壁ドン」である。なんだこりゃ。
 深志さんの説明によれば、「壁に男性が腕を突いて追い詰める動作です。逃げられない、奪われる感が女性の「求められる私」欲を刺激します。追い詰めてキスしてから押し倒せば完璧コンボです」
 そうだったか〜、女の子の背中を壁に着けさせて男が彼女の顔の傍の壁に掌を突く姿勢か。あれが壁ドン。なるほど〜。女の子たちはどういうものか、男にそうされると、胸キュン感が倍増するんだね。だから誰でも「一度はされてみたい!」と思ってるんだそうだ。いいこと聞いた。そんなことで嬉しいなら、やってやろうじゃないか。えーと、誰かいい相手がいないか。えーと……。
(下の図が、マンガでよく見る典型的壁ドン)
Photo

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2013年11月 1日 (金)

デブ専AV女優の悩み

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(イラストレーション by 中村成二)


最近、ネットで話題になったものに、マスコミが報じた『体重が重いAV女優の売春あっせん事件』というのがあった。
 大手マスコミは「デブ」という語が使えないから「デブ専女優」といえばすむところを、
「体重が重いAV女優」と言わなきゃならない。不便だし、一読して意味が分からない。そのバカらしさが、ネット上で面白がられることになった。
 つまりは、デブ専女優を使ってAV作品を作っていたプロダクションの女性マネージャーが、彼女たちを本番ありの風俗店に紹介したとして、売春あっせん容疑で逮捕されたという話だったわけだ。
 容疑者は自分もデブ専の女優であったそうで「体の大きい子は面倒くさがりで、仕事を探さないので、面倒見のよい自分が紹介してやっていた」と話しているそうだ。なるほど分かるような気がする。
 デブ専女優が勤まるような女性は、ただのデブではない。少なくとも百キロ以上、理想的には百二十キロぐらいの体重が求められる。デブであればあるほど需要のある世界なのだが、それぐらいの肥満体となると、動くのが厄介になる。出来るだけ体を動かしたくない怠け者が多い。
 容疑者は、そういう女性たちに「あなた達は求められているのよ。私が仕事を見つけてあげるから、働きなさい」と、いろいろ面倒を見ていたらしい。まあAVだけだったら問題はないが、売春させる風俗店に紹介したのは、やはり面倒見がよすぎたというべきだろうか。
 私は以前に、アメリカにおける超肥満女性たちのことを調べたことがある。向こうでは百五十キロ級の彼女たちのことをBBW(ビッグ・ビューティフル・ウーマン)と呼ぶのだが、そこまで肥った女性はほとんど動けない。足が体重を支えきれなくなっている。怠ける怠けないの問題ではないのだ。
 では、どうしてそういう超肥満女性が生きていられるかというと、彼女たちには必ず、せっせと食料を供給している誰かがいるのだね。そういう特定の関係の人物をフィーダーという。デブ専女優売春事件のマネージャーもフィーダーだったのだ。
 問題は、フィーダーがいなくなった場合の超肥満女性で、彼女たちは食料の供給を断たれて痩せてしまう。今回は世話になっていたデブ専女優の場合も痩せるだろうが、そうすると商品価値が薄れてしまうのだ。関係者はみな、そのことを心配している。

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