酒とセックスと男と女
(イラストレーション by 中村成二)
年末から年始にかけては、日本人が一番、酒を飲む時期だろう。クリスマスパーティに忘年会に新年会、連日連夜、盛り場は酔客で溢れている。当然ながら酒の呑み過ぎによる事件や事故も多い。
つい最近も、兵庫県議会自民党議員団の宴会で、三十代の議員K氏が酔ったあげく「女は金で買うもの」などと女性蔑視の放言を連発、さらに女性県議のひとりに「一万円でどうや」と言い寄り抱きつくという事件を起こした。
こういう時、上に立つ者は「まあまあ、酒の上のことだから」とうやむやにしようとするものだが、最近は女性の立場も強くなって「酒の上だから」という言い訳は通用しにくくなった。なぜなら「酔った時だから本音が出た」のだと誰もが思うようになったからで、K氏の政治生命は、たぶんこれで断たれることになるだろう。そんな本音の持ち主に女性が投票するわけがない。
酒つまりアルコールは、適量なら脳内で神経伝達物質のドーパミンの分泌を増やし、気分を高揚させる。しかし度を過ぎると判断力を失なわせ、K氏のように「見せてはいけない本音や欲望」をむき出しにし、信用や信頼や尊敬を一気に失なわせてしまう。
ふだんは隠していた欲望が表面に出るのなら、セックスのほうも荒々しく強烈になるような気もするが、のんべえ諸氏は身にしみてよく分かってるとおり、酔っぱらった時のセックスは、まずうまくゆかない。中枢神経の抑制によって勃起が不足し、挿入できても「中折れ」になって、射精できない。風俗の女性が酔った客を嫌うのは当たり前のことである。男はセックスしようと思ったら、酒は飲まないにこしたことはないんである。
では、女性はどうだろうか。女性がアルコールを摂取すると性欲が増すと言われている。これはテストステロンという男性ホルモンが分泌されるせいらしい。ほどほどの酔いは女性を大胆にさせるので、セックスに導く上で効果的な「催淫剤」であり「媚薬」になる。
男女が出会って、親密になり、セックスに至るまでの間、酒は効果的な役割を果たすのは当然だが、ある量を越すと男性にはマイナスに働く。彼女をベッドに誘う戦略として「自分は酔わず、彼女を酔わすように仕向ける」のがベストなんである。口説く時はそれを忘れずに——って、ついつい忘れちゃうんだよなあ。
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