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2014年2月22日 (土)

ゲイとオリンピック

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(イラストレーション by 中村成二)
 ソチ冬季オリンピックで、一番、スポーツの祭典らしくなかったのは、市長が「ソチには同性愛者はいない」などと発言し、ゲイを公然と差別する発言をし、ロシア政府もそういった動きを規制しなかったことだろう。
 オリンピック憲章では「いかなる種類の差別もなく」と選手の権利を宣言しているのだから、ロシア側のゲイ差別は憲章違反であり、最近のLGBT(レズビアン・ゲイ・バイセクシャル・トランスジェンダーの略語。性的マイノリティの人々をさす)開放運動に逆行した人権無視の動きである。人権意識に敏感な西欧諸国の首脳はオバマ大統領を始め、多くが開会式を欠席した。ゲイを差別するロシアの政策に強い反感を示したのである。
 ゲイやレズビアンを差別する主な力は宗教であると言っていいが、ロシアの場合はキリスト教を抑圧した共産主義である。特に独裁者スターリンが「同性愛はブルジョア的退廃である」として弾圧したことが大きい(一時はゲイであると思われただけで死刑や流刑にされた)。
 その差別意識は今も強く、現在のロシアは同性愛宣伝禁止法というのが成立して、自分がゲイであるとカミングアウトすることも、それを擁護することも許さず、違反すれば逮捕投獄するという、酷いことになっている。イスラム教の諸国も同性愛を厳しく弾圧するところが多く、中近東諸国ではゲイと分かれば死刑にされる場合も少なくない。ゲイは人種に関係なく人口のほぼ2パーセントはいるとされる。こういう国々のゲイや性同一性障害の人々は生きた心地がしないだろう。
 欧米諸国だって今は同性婚をどんどん認めているけれど、1980年代頃まではゲイを「病気」「異常者」として厳しく差別し弾圧してきた。オスカー・ワイルドだって投獄された。あまり大きな顔はできないのである。
 その点、日本に生まれたゲイは幸せだったというべきだろう。これまでわが国はゲイを公然と弾圧したことはほとんどない。差別はあったが、死刑にされた人間などいない。
 日本の社会はゲイの存在を許容し彼らの才能を認め、その結果、歌舞伎をはじめとして豊かな文化を築きあげてきた。最近の日本は元気がない、世界にひけをとっていると嘆く人々がいるけれど、忘れてはいけない。日本はゲイを認めて受け入れてきた数少ない文明国のトップにいるのだ。これは誇れることだよ。
 

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アナルセックス二段絞め

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(イラストレーション by 中村成二)

「そうか、蘭先生の命日が近いんだな」と、ふと思い出したのは、古いSM雑誌のなかに、面白い記事を見つけたからだ。
 ぼくがSM作家としてデビューできたのは、かつて団鬼六氏と並ぶ人気のSM作家、蘭光生氏のおかげだった。以来、私は自分の師と思い定めてきた。蘭先生は23年前、58歳で亡くなられた。
 先生は「式貴士』の名前で独特な味のするSF小説も書いていて、いつも奇想天外なアイデアでぼくらを驚かせてくれていたが、ある時「いくらなんでもあんなデタラメを書くとは……」と叱られたことがある。それは『子宮セックス』を書いた作品だった。
「セックスの時、ペニスを膣の奥にある子宮口(子宮頸管)のなかに入れるテクニックがある」と好事家のかたから教えられた。
 調べてみると、誰にでもできるというわけではないが、ペニスが長い男性と子宮口が突出しやすい女性が特別な体位で結合すると、ペニスを子宮に入れることが可能になる。その時は男女ともすばらしい快感を得られるという(残念ながらぼくにはどう転んでも不可能なテクニックだったが)。
 これをネタに作品を書いたら、それを読んだ蘭先生にしかられたというわけだ。自分はあんなに奇妙キテレツなSF作品をいっぱい書いてるのにね。一応「これはちゃんとしたネタがありまして。やり方の本も出てます」と弁解したけれど聞いてもらえなかった。
 冒頭に書いた、最近目にした面白いセックス記事というのは、アナルセックスのなかでも秘技と言われる高等なテクニックを説明したものだった。ふつうはペニスを肛門から入れて直腸という部分で楽しむのだが、直腸から更に奥のほうに「幽門」(ゆうもん)というくびれた部分がある。ふだんはここが締まって、S字結腸から便が洩れるのを塞いでいる。
 長いペニスの持ち主が仰向けに寝て、相手(女性でも男性でも)が跨がる形で直腸までペニスを受け入れる。亀頭が幽門に達したところでいきむと、くびれが広がって亀頭を呑み込む。その時、肛門で根元が絞められると同時に先っちょ(亀頭冠)も絞められて、絶妙な快感が得られる。よって「アナルセックス二段絞め」と称されている——らしい。
「よーし、これを材料に小説書こう」と思ったとたんに。かつて「あまりデタラメなことを書くな!」と蘭先生にしかられたことを思い出したというわけ。ダメですかねえ、先生〜。

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2014年2月13日 (木)

離れていてもセックス!

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(イラストレーション by 中村成二)
『週刊プレイボーイ』誌に面白い商品が紹介されていた。コップにストローを差したような外観の器具だ。二つで一組になって、パソコンに繋げるようになっている。
 このストローの部分を口にくわえて、舌で触ったり吸ったりすると、その動きがパソコンを介してもう一つの器具のストローに伝わる。そちらをくわえてる人間は離れたところにいる人間の口や舌の動きを感じることができるわけだ。つまり「遠隔キス」が可能になるんである!
 もちろんインターネットを介すれば、相手がどこに居ようと、キスマシーンは機能する。離ればなれに住んでいる恋人同士がこれを使えば、毎日毎晩、好きな時に熱烈なディープキスが愉しめるわけだ。
 そうなると当然、キスだけではもの足りない——ってことになるね。
 去年、「USBオナホール」というのがあると知った。これもパソコンに繋いで、専用のソフトを起動すると、画面に現われた女性が、オナホールに突きこまれたペニスの動きに合わせて悶えたりよがり声をあげたり、最後はイッてしまったりする。先端技術を使った人工の膣なわけだ。
 そこで遠隔キスマシーンにUSBオナホールの機能を組み合わせ、片方は膣形オナホール、片方はペニス形バイブレーターにする。パソコンとインターネットを介して、一方では男性がオナホールにペニスを差し込み、もう一方では女性が自分の膣にバイブを挿入するのだ。
 それでソフトを起動すると、お互いの動きが相手に伝わる。男が突けば、女性のなかのバイブもそのように動く。ミルクを入れておいて射精システムも組み込んでおけば、男性がイッた時は、バイブの先からミルクが噴き出る。離ればなれの恋人たちも、これでセックスしている気分を味わえるわけだ。
 そうなると、さらに発展した「遠隔セックスマシーン」というのも考えられるね。今やホンモノそっくりのラブドールと呼ばれるオナニー用人形が作られているが、あれの女性用も作り、男のペニス、女の膣の部分にそれぞれ「遠隔セックスマシーン」を取りつけるわけだ。これなら離れたところに単身赴任している夫が、家にいる妻を抱くような気分でセックス(実際はオナニーだが)を楽しめる。奥さんも満足する。ぼくが考えるぐらいだからもう業界では考えているに違いない。すぐにも実用化されてるかもしれないぞ。

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2014年2月 1日 (土)

オリンピックと悪書追放

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(イラストレーション by 中村成二)


 先日、『「奇譚クラブ」から「裏窓」へ』(論創社)という興味深い本を贈られた。著者は飯田豊一氏。その名を知らなくても濡木痴夢男という別名は知ってる人も多いだろう。緊縛師として活躍され日本SM界の先駆者であった。昭和20年代に創刊、SM雑誌の草分けとである『奇譚クラブ』でSM小説家としてデビュー、のちに都会的なSM雑誌の『裏窓』の編集長として腕をふるい、SMマニアを喜ばせてくれた。ぼくがのちにSM小説を書くようになったのは、この二つのSM雑誌のおかげである(ちなみに濡木痴夢男氏こと飯田氏は去年の秋に亡くなった)。
 この本は草創期のSM界に活躍した人々のことを書いていて、SMマニアなら興味は尽きないと思うが、まあ昭和の20〜30年代のことだから、今の若い人には無縁かもしれない。しかし、最後のほうに、平成の世の人でも衝撃を覚えるような部分がある。悪書追放運動に関する個所だ。
 時、おりしも東京オリンピックを控えた昭和38年、「青少年に悪影響を及ぼすエロ本を追放しよう」という運動が全国的に広まったのである。やはり「外国から来る人に、こういうものは見せたくない」という心理が働いたのだろう、知識人、良識者が提唱したが、運動の先頭に立ったのは主に婦人団体だった。彼ら彼女らは警察よりも厳しくSM雑誌を槍玉にあげて避難した。その時のことを飯田氏はこう書いている。
《「悪書」を出版している出版社の経営者や編集責任者を呼び出し、一室に集めて「吊るしあげ」も行なった。官憲でもそこまではやらなかった。(中略)諸団体のとりわけ中高年の女性たちは私たちを罵倒し、汚いものを見るように侮辱的な言葉を投げつけた。特に「悪書」の極みとして。変態雑誌の編集長である私に非難は集中した。彼女たちに浴びせられた言葉の数々を私は今でも思い出すことがある。そうした言葉に酔っている彼女たちこそサディストで性的快感を得ているに違いないとさえ思った》
 ナチスの焚書を思わせる、おばちゃんたちのヒステリックな運動の結果、ぼくが愛読していた『裏窓』は廃刊に老い込まれたのである。またオリンピックが来ることで、同じような運動が起きるのではないかと、ぼくは心配している。マンガの表現を規制しようという動きは根強い。かつての悪夢のような追放運動はごめんだぞ。
 (奇譚クラブから裏窓へ  Amazon サイト)
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