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2014年8月31日 (日)

男も無毛の時代

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(イラストレーション by 中村成二)
 先日のこの欄、『ヘアーヌードが懐かしい!』で、女性が脱毛するのが当たり前の風潮になったのを嘆いたら「男だってそうですよ」と教えられた。
 ブラジリアンワックスやレーザーを使った脱毛サービスを行なうエステや美容外科が、今は男性をターゲットにしているんだそうだ。調べてみたら、なるほどそういう店がどんどん増えて、熱心に広告をうち、男性客を集めている。
 中には「男性の体毛に魅力を覚える女性は2パーセントしかいません!」と、まるで体に毛が生えているのが醜悪でエチケット違反のように訴えている広告もある。ホントかよ。
 かつて、男の体毛はそんなに忌み嫌われていなかった。ショーン・コネリーや長嶋茂雄や三島由紀夫らは、自分たちの胸毛を「男らしさ」の象徴として誇示してきて、女たちはそれを見てため息をついた——はずだ。
 それが一転して、今は男たちが「女に嫌われる」という理由で、体毛をどんどん無くしている。
 記憶に新しいのは、刑務所を出てすぐのホリエモンが、レーザーで全身脱毛してしまったことだ。「刑務所のなかで毛ジラミの被害にでもあったのか」と思っていたのだが、ホリエモンは「これからは男も無毛時代だぜ」と力強く信じて実行したんだね。「サッパリして気持いい」とアピールし、毛むくじゃらの男たちを見下している。
 ぼくは幸か不幸か、それほど体毛は濃くない。ただVゾーンは「ちょっと生え過ぎかなあ」と思うことがあり、そういう時はハサミでチョキチョキと適当にカットするぐらい。脱毛などは考えたことがないけれど、「脱毛するのがセックスパートナーに対するエチケットだ」と言われると、少したじろいでしまう。
 確かにフェラチオを受ける場合、してくれる女性にとって、あの一帯のヘアーは邪魔なことは確かだ。ある風俗嬢に「フェラチオの時、陰毛が鼻の穴をくすぐることがあって、くしゃみが出て困るのよ」と訴えられたことがあった。
 女性に縁が無ければ別だが、いろいろセックスを楽しみたい、と思う男性は、これからは脱毛サービスの利用を考えたほうがいいのかもしれない。
「脱毛サービスは高い。自分で剃ればいい」と思うかもしれないが、やってみると分かるけれど、剃ったあと、少し伸びてきた頃はチクチクしてかゆいんだよ!

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2014年8月24日 (日)

ゆかたのエロティシズム

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(イラストレーション by 中村成二)

 花火大会、盆踊り、縁日……。浴衣を着た女の子たちがさわやかな匂いをふりまきながら、笑いさざめいて下駄を鳴らしつつ歩いてゆくのを見ると、猛暑の夏もそんなに悪くないという気になる。

 これは前にも書いたのだけれど、日本の男は浴衣を着た女の子を見ると、不思議にエロな気分になる。なるはずだ。肌の露出度からいえば洋服の、たとえばノースリーブのワンピースとかキャミソールに短パンのほうが強烈なのに、あまり肌を見せない浴衣が、どうして強くエロを感じさせるのだろうか。

 その理由の一つとしてぼくが挙げるのは、「足さばきのぎこちなさ」である。

 和服全体がそうだが、浴衣をキチンと着ると足を大胆に動かせない。裾の制限範囲内で、「ちょこまか」という感じに小股に歩く。しかも外を歩く場合は下駄である。いまの女の子は履き慣れていないから、自然、足さばきがぎこちなくなる。

 このぎこちなさが、ふだんは靴を履いて大股で闊歩している女性たちに非日常のエロティシズムを与えて輝かせるんである。ウソじゃない。信じなさい。いや、下駄はいて歩いている女の子を実際に観察してみると、実感として分かると思う。

 そもそも浴衣は大昔、混浴時に肌を隠すために着た「湯帷子(ゆかたびら)」からきている。その後、湯上がりの肌じめりをとるための日本式バスローブとなり、着るのに簡単な部屋着、寝巻として愛用されるようになった。つまり本質は下着なわけで、基本、浴衣の下には下着を着けず、素肌に着るものである。それがまた、エロティックな雰囲気というか匂いを醸し出す要素になっているんだろうね。ちなみに今でも、浴衣で公式の席に出るのはマナー違反とされることが多い。

 だいいち、生地が薄く裏地もないものだから、密着した場合に体の線(特にヒップのあたり)が洋服よりもきわどく浮き上がる。白地の浴衣だと色物のパンティが透けてみえて、そういうところもエロな衣装なんだよね。

 ぼくがこれまで見て一番エロだった女性の浴衣姿は、松阪慶子である。一九九〇年ごろ、結婚しているとか同棲しているとかで、写真週刊誌が望遠レンズで隠し撮りに成功したショット。朝、寝起きの松阪慶子がマンションのベランダで寝具を干しているのだが、着ているのがパジャマでもネグリジェでもなく、寝乱れてくずれた浴衣。強烈な成熟女性のエロが爆発して、ぼくは完全にノックアウトされてしまったよ!

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2014年8月18日 (月)

大物SM人の死

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(イラストレーション by 中村成二)

 過日、K氏が亡くなったという報を受けて、ひとしきり感慨に耽った。
 享年八十九歳。天命を全うしたと言っていいだろう。SMに関係する人でK氏の名前を知らない人は、まずいなかった。日本のSM界を作ったと言って過言ではないだろう。本来は実業家だったが、緊縛愛好趣味が高じて、団鬼六さんと組んで業界に乗りだし、写真集、ビデオ、映画を制作、のちにはSMを含むアダルトビデオ業界の雄となった。豪快にして温和な性格に惹かれない人はいなかったという。
 ぼくは早くからK氏が手がけた緊縛写真集でSM願望を満たしてきた。私よりずっと上の世代だから、セーラー服少女のストッキングはガーターで留めていて、もう絶滅した光景をしっかり今に伝えてくれて、それらの写真集は今もぼくの家宝みたいなものである。
 ぼくがKさんとお会いしたのは、東京は飯倉に『SAMM』という会員制SMサロンを開店した時である。地下に降りるとそこはふつうのバーだけれど、秘密の扉を開けると、その向こうは地下牢ふうのSMプレイルームが広がる。何度、胸をときめかせてその扉をくぐっただろうか。残念なことに二、三年で閉じてしまったが、今、それをやれば繁盛しただろう。三十年早かった。
 資産家であったから、商売っ気抜きで自分の趣味思考を全開して、多くのSMファンの渇を癒してくれた貴重な存在だった。氏の葬儀には大勢のSM関係者が参列した。
 ところで葬儀の終わったあとに聞いたのだが、氏は自分の趣味のために隠れ家を持っていて、そこにはプレイのための道具、装置の他、大量のSM資料が秘蔵されていたという。
 K氏はそのことは家族には秘密にしていたのだが、死の直前に明らかになり、初めて知らされた家族は「そんなものは捨ててしまう」と言ったそうだ。氏は急ぎ、神楽坂の『風俗資料館』にすべてを寄贈したので、日本のSM史を語るには欠かせない貴重な資料は消滅を逃れることが出来た。よかった。
 しかし「あのKさんでも、家族には内緒にしていたのか……」と、マニア仲間は囁き交わしたものである。つまりKさんの問題はみんなの問題でもある。ぼくも、これまで生きてきた間に、さまざまなモノを集め、保管してきた。なかには公表したら自分の恥だけではなく、人の迷惑になるものもある。もちろん家族は知らない。K氏の件はぼくにとっても切実な問題を改めて考えさせてくれた。ともあれ合掌——。

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ヘアーヌードが懐かしい!

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(イラストレーション by 中村成二)

 夏である。ネットでは知り合いの女性たちがしきりにブラジリアンワックスの話題で盛り上がっている。
 ブラジリアンワックスは脱毛法の一つで、ワックス状の溶液を局部に塗り、しばらくして固まったところを急激に剥がし、体毛を毛根ごと一気に抜いてしまう。
 脱毛法としてはレーザー脱毛で毛根を焼いてしまうのが、最も確実で永久的な処置であるが、これは費用もかかるし、時間もかかる。ブラジリアンワックスはやがてまた生えてくるにしろ、夏の水着シーズンだけ脱毛したいという女性には向いている。費用もそれほど高くない。しかし、無理やり引き抜くんだから痛いだろうと思うけれど、どうなんだろう。
 ともあれ、女性たちが自分たちのシークレットゾーンに繁茂しているヘアーを目の仇にして退治する風潮は、ますます高まる一方だ。
 前にも書いたことだが、いまネットでは世界じゅうのポルノ画像が見られる。それを見て思うのは、欧米では女性はみんな、あそこを丁寧に脱毛しているということだ。ただ剃るのではなく、それこそレーザー脱毛やブラジリアンワックスなどで、赤ん坊の肌みたいにツルツルにして、それを誇らしげにオープンして見せている。
 プロのポルノ女優ばかりかと思いきや、アマチュアの自作ポルノでも家庭の主婦やOLなど、みーんなツルッツルである。
 ぼくは、何度も言うのだが、アンダーヘアーが生えてるのが好きで、濃ければ濃いほど興奮するという気質だ。欧米ふうの完全脱毛ヌードは好きではないのである。腋毛はもう仕方ないとして、アンダーヘアーはせいぜい刈りそろえるぐらいにしておいて欲しいと願っていたが、もうそれは虚しいものになりそうだ。
 どうやら人類は、全世界的に「ノーヘアー」の時代に突入しているようだ。日本もあと数年で、プロもアマチュアも、頭髪以外は全身ツルッツルというのがふつうになりそうだ。
 腋毛にしろ陰毛にしろ、あのあたりは性的な欲望を刺激する匂いを発生するゾーンで、腋毛も陰毛も、その匂いを保持して異性を惹きつけるために生えている。
 しかし人間の五感のうち、嗅覚は一番衰退しているもので、人類はもう、匂いで発情する必要が無くなったのかもしれない。ぼくのような、異性の体臭を好ましいと思うのは少数派になり、男も女も体毛ゼロという時代がやってくるのは確実なようだ。
 かつてはヌード写真の一部に黒いものがチラリと見えただけで興奮した、ぼくのような男はどうしたらいいんだ?

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笑えないエロの笑い話

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(イラストレーション by 中村成二)

 ぼくは見たことがないのだけれど、アメリカで放送されている『チーターズ』という人気番組が、ときどき日本でも放映される。
 チーターズとは、浮気者たちという意味。日本では『浮気調査団チーターズ』としている。内容は、夫や妻の浮気を疑う片方の依頼を受けて、番組が尾行調査で現場を見つけ、そこに依頼者を呼び、カメラと一緒に突入する、というむちゃくちゃ乱暴なドキュメント。おおかたはベッドに一緒にいる裸の不倫カップルがバッチリとカメラに写ってしまう。そこへ夫なり妻なりが飛び込むわけだから、大騒ぎ。裸で逃げまどったり、逆襲して取っ組み合いの修羅場になったりする。警察もやってくる。
 それをカメラが一部始終撮影し、放送するのだから、バレた側にとってはとんでもなく残酷な仕打ちだ。しかし「人の不幸は鴨の味」という。視聴者は面白がって見る。視聴率はどんどん上がる。今では番組を録画したDVDが売られるまでになっている。
 この前、日本で紹介された番組の中にはこういうケースがあったそうだ。
 夫の浮気を疑った妻の求めで、スタッフが尾行すると、夫は背の高い女と一緒にホテルに入った。そこで妻を呼び、カメラと共に突入! そこで見たものは、裸で全頭マスクをかぶった夫が、ボンデージルックの背の高い女に鞭打たれている姿だった。もちろん妻は激怒して夫をなじる。
 すると夫は「これは浮気ではない」と弁解する。何を今さらと思ったところで意外な事実が判明。サドの女性と思った相手は、実は女装の男性だったのだ!
 夫は「本当は君とこういうことをしたかったのだ。これから三人で一緒にやらないか」と頼む。妻は拒否、怒りながら立ち去る。
 この騒動を見て、ゲストに呼ばれた芸能人たちは腹を抱えて大笑い。秘密をバラされた男女を嘲り罵るのだ。
 実はこれを教えてくれたのは、SM専門のSNSにいる友達。もちろんぼくもそのSNSのメンバーだ。ということは、彼もぼくも秘密の趣味を抱えて、番組の中で写されて、嘲笑を受ける側にいる。
「いたたまれないですね」と彼はいい、ぼくや他の仲間も「切ないなあ」「たまりませんね」と悲嘆にくれたのである。
 大勢の人たちが嘲笑する時、その陰でひっそりと「切ないなあ」と悲しく呟く人がいるのだ。バラエティ番組を作る連中は、妻や夫に言えない嗜癖を秘めている人をいくらでも笑い者にしてもいいと思っているのだろうか。ぼくは全然笑えないよ。

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