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2014年10月18日 (土)

性教育はむずかしい

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(イラストレーション by 中村成二)
「日本の裁判所も捨てたものではない」と思わせたのが、先日に判決が出された『七生(ななお)擁護学校事件』。
 発端は1997年。日野市にある知的障害児のための七生擁護学校で男子生徒と女子生徒が性的関係をもったことが分かり、教員と保護者たちが共同で、独自の性教育プログラムを考え、性の仕組みを生徒たちに教えていた。
 人体模型や具体的な図版を用いて、知的障害児童にも分かりやすくした性教育のありかたに対して、まず都議会の議員三人が「常識では考えられない」「不適切」「感覚がまひしている」と罵倒に近い非難を浴びせながら問題にした。当時の石原慎太郎都知事も「異常な信念を持って、異常な指示をする先生というのは、どこかで大きな勘違いをしている」と答弁、擁護学校の教員たちはまるで変態扱いされて厳重な処分を受けた。
 ヒラに降格された校長と教員らは、東京都の教育委員会と三人の都議に対する精神的苦痛の損害賠償を求め、裁判に訴えた。一審二審そして最高裁も教員らの訴えを認め、控訴した都教委、都議側が最高裁でも敗訴し、元校長や教員らの名誉は回復された。最高裁は特に、理不尽な処分をくだした都教委に対し「干渉しすぎだ」と叱責を加えている。
 この事件をふり返って驚くのは、世の中に性教育ということに異常な拒否反応を示す非常識なオトナ(石原慎太郎を含め)が多いということだ。彼らは子供がセックスについて知識を得ることを極端なまで恐れる。実際、戦後もしばらくの間、性教育というのはロクになされず、おかげで「キスしたから妊娠する」と怯える女子や、避妊のことを知らずに相手を妊娠させてしまう男子があとを立たなかった。そういう悲劇を生まないためにも正しい性教育は必要なのだが(それが少子化に歯止めをかけるひとつの方法でもある)、全国的にまだ、理想の性教育はなされていないというのが実態だろう。
 なぜかというと、セックスというのは、ともかく社会から隠されたところで行われる行為だからだ。もし子供にセックスのことを質問されて「パパとママがやってみせるから見ててごらん」という両親はいない。どんな民族でも他人の前で平然とセックスしない。これはセックスの時、男女ともに無防備な状態になることの恐怖と警戒心が遺伝的に刷りこまれているせいだと思うが、このことが性教育を本当に難しいものにしているのだ。この問題はもっと考えてみよう。

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コメント

こんにちは。
館淳一さんの小説を読むと性についても深く描写されてますね。特にニューハーフと女装、トランスヴェスタイトにトランスセクシャルのちがいなどいまだにニューハーフ、異性装者、性同一性障害などを混同してる若い方たちもネットに限らず現実でもかなりいるようです。
ちゃんとそれぞれにちがいがあって性の世界も深く多くいろいろなことをあるのを世間は知ってもらいたいものです。
館淳一先生の作品を教材にすればいいと思います。

投稿: サヤカ | 2014年11月16日 (日) 05時53分

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