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2015年5月30日 (土)

緊縛ジャポニズム

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(イラストレーション by 中村成二)
ぼくが加入しているSNS『フェイスブック』は、その気になれば世界中どこの国の人とでも「友達」になれて、ネットを通じて情報のやりとりをできる。ぼくの場合、基本、日本人とだけ友達になるようにしているけれど、このところ海外から「友達にしてちょうだい」というリクエストが増えている。
 アメリカやフランスが多いけれど、北欧とかトルコとか東南アジアのどこかとか(文字が読めない)、いろんな国から「友達になろう」と言ってくるのだ。日本の一介のオヤジとつながりを持ちたい、という相手は、やはりオヤジ年代が多い。なぜだ、ぼくの身に何が起こっているのだ。
 なに、話は簡単である。ぼくはSM作家という商売柄、日本のSMシーンの代表的な人々と『フェイスブック』でつながっている。その主なところは「調教師」とか「縄師」と呼ばれる、緊縛のプロフェッショナルと、その関連のモデルさんやパフォーマーの人々。
 こういった緊縛関係の人たちは、ずっと国内で活動してきた。ところがここ二、三年、そういったプロが、海外で活発に活動するようになった。私の知ってる縄師さんの何人かは、年に数回はアメリカやヨーロッパを飛び回っている。緊縛モデルの女性たちも、ある人はパリから、ある人はベルリンから、ある人はアトランタから「ここに来てるよー」と活動を報告してくる。
 以前、SM関係者が海外へ行くというのは、AVの撮影のためというのが多かった。しかしそういう活動してるうちに「日本の緊縛というのは、なんかアートだな。すごい文化だな」と向こうのマニアが思うようになり、やがて「ちょっと日本の『キンバク』を教えてくれないか」「こっちの緊縛イベントで日本のシバリアートを披露してみせてくれないか」という申し出や招待がどんどん来るようになったらしい。実際、いまや『シバリ』『キンバク』は世界共通語で、翻訳する必要がない。
 そんなわけで日本の緊縛プロやモデルたちが世界を飛び回って活躍している結果、彼らとつながっているぼくのようなオヤジでも「こいつ、シバリアートに関係しているらしい。だったら情報をもってるかも」と思い、友達リクエストが舞い込んでくるんだね。いや、ぼくにつながっても何の役にも立たないと思うけれど、宗教的戒律のきびしそうなところとか政治的にエロはダメだろうと思う国にも、熱心な緊縛マニアがいて、少しでも日本の『シバリ』を知ろうと熱心になってる姿にはちょっと感心してしまう。世界の緊縛シーンは今やジャポニズム(日本趣味)の時代なのだ。

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2015年5月23日 (土)

聖水の研究

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(イラストレーション by 中村成二)
『お嬢様聖水』という健康ドリンクのネーミングをめぐって、いろいろ騒がれたけれども、ぼくが一番驚いたのは、メーカーの開発担当者が「聖水」には別の意味があることを、販売されるまで知らなかったということ。
 何人何十人という人間がかかわっていただろうに、男性がわーっと買いにきて困惑してしまったというから、本当に知らなかったんだろうかねえ。なんという心の清らかな人たちだったのだろう。うーむ、そうなると「すごいネーミングだ!」と騒いだ連中は自分の心の汚れを反省しなくちゃね……って、そんな反省しても仕方ないけど、おかげでこれまで全然知らなかった無垢な人たちも、これで「聖水って女性のおしっこのことなんだー」と分かったわけで、それはいいんだろうか、悪いんだろうか、そもそも「聖水」というのはキリスト教で用いる、神の祝福をもたらし罪の穢れを払うための水。だからキリスト教のほうではどう考えているんだろうと、ヘンなことを心配してしまうよ。
 この騒動の余波で、ネットには「聖水」にめざめた女性たちの疑問がどっと溢れてきた。一番は「聖水プレイって男性が女性のおしっこを飲むことらしいけど、それって有害じゃないの?」という疑問。
 これは聖水に関係する業界(つまりSMやフェチの業界)では常識なので、ハッキリと答えておこう。健康な女性の尿は、新鮮なものを飲むかぎり無害である。腎臓という緻密なフィルターで濾過されてるので、有害な細菌はゼロに近く、消毒水が手に入らないところでは傷口の消毒に用いられるぐらいなのだ。「アンモニアは毒だろう」と言われるとそのとおりなのだが、排出されてすぐはアンモニアはゼロに近い。放置されると化学変化を起こしてアンモニアが生成されるから、飲むのなら早めにどうぞ。
 免疫系を活性化されるということで自分の尿を飲む健康法というのが流行したことがあるが、あれで死んだ人がいるとは聞いたことがない。おしっこは基本的に無害な液体なのである。その証拠に、ネットを検索すると、何年何十年と女性のおしっこを飲んでる男性が何人も「私はおかげでピンピンしてます」と自慢している。
「だったら、逆に、健康にいい何かが含まれているのかもしれない」と思うかもしれないが、そこらへんはよく分かっていない。女性の尿には女性ホルモンが含まれるという説もあり、それは正しいようだけれど、閉経した女性でないとあまり含まれていないとか。たぶん聖水で元気になるのは、別の理由からなんだろうねえ。
 

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2015年5月 9日 (土)

無償のエロアートがすごい

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 友人のエロ専門ライターY君が、SNSで「こんなもの貰ってしまった」と、ダンボールいっぱいの紙の束を画像で紹介していた。
 なんでも、ある老人が死んだあと遺品のなかから発見されたそうだ。ごくふつうに暮らしていた人物らしいが、かなりエロ雑誌に興味があったようで、ものすごい量のヌードグラビアを切り抜きして保存していた。
 それだけなら珍しいことではないが、この老人はただ切り抜きを集めただけでなく、女のヌードを丁寧にトレースして絵にし、それに念入りに文章をつけてゆく作業に没頭していたらしい。小説ともいえない文章だし、本人だけにしか分からない言葉が暗号のようにちりばめてある。何年何十年となくその作業を続けてきた結果、膨大な切り抜きと紙の山が築かれた。
 困惑した遺族が始末に困っていたのを共通の知人が聞きつけ、仲介する形でY君のもとに運びこまれたのだ。
「いや、何が書かれているのか判別するだけでも大変で、ぼくも困っているんだよ」とY君もぼやいているが「しかしそれを整理してゆけばアウトサイダーアートになるよ。日本のヘンリー・ダーガーじゃない?」とぼくは励ましている。
 ヘンリー・ダーガーとは日本でまだ知る人は少ないが、1973年に81歳で亡くなったシカゴ在住のアメリカ人。孤児として育ち十代の頃から教会の掃除人として、人とつきあうわけでもなくアパートの一室でひっそり暮らしていた。その死後、彼の部屋を整理しようとした家主が見つけたのは『非現実の王国』と題された、手書きの一万ページにわたる物語の原稿だった。しかもその物語をイラストにした絵が何百枚も出てきた。ジャンルでいえばロリータポルノだが、稚拙であるがそれなりに完成したものだったので、世に紹介され、世界じゅうを驚かせた。
 作者のダーガーは自分の膨大な作品を無価値なものと思い、死ぬ前に「全部捨ててくれ」と言い残したそうだ。今では世界中で彼の作品の展覧会が開かれ、写真集が作られている。
 そういう芸術のような芸術でないような無名の人間の力作がアウトサイダーアートと呼ばれるのだが、Y君の手元にある、無名の一老人が長い年月をこめてトレースした絵に物語(印象みたいなものだが)を記し続けた執念は、まさにアウトサイダーアートだ。
 この世にはそういう、エロの世界に没入して無意識にアートを作ってしまった人間が、いっぱいいるに違いない。げにエロの力(というか執念)はすごいものだ。

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2015年5月 3日 (日)

高齢熟女ヌードが人気!

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(イラストレーション by 中村成二)
 某大手新聞の、よく知られたコラムのすぐ下に、書籍の広告ばかりズラリと並んでいるのをご存知だろうか。本が好きな人は朝一番にその部分を眺めるのが習慣になっている。
 学術的、専門的な内容の、かた苦しい本がズラリと並ぶなかに、ある日、こんな広告が載った。
《高齢熟女ヘアヌード写真集 DVD 4枚付き》というのだ。東京スポーツさんなならこういう広告があっても驚かないけど、インテリ読者の多い全国紙の、一番目につくところの広告だっただけに、しばらくは目を疑ってしまったよ。
 しかも、その内容を見て二度びっくり。総勢22人のヌードモデルのうち、五人が六十代で、残りが五十代。しかも《年季の入った体がリアルに興奮させます》と煽っている。
 ヌード写真集でも「これはエロやなくて芸術ですねん」というのを言い訳にする場合が多いけれど、この写真集は言い訳ゼロ。「興奮させます」と大胆不敵に言い切っている。
 よく見ると、この写真集は二巻目だ。ということは一巻目がよく売れたということなのだろうね。そしてお値段は七千円ぐらい。 DVDが四枚ついたヘアヌード写真集としては妥当な値段なのかもしれないが、青少年が簡単に買える額ではない。そして注文方法は版元に電話するかファックスするしかない。たいていの版元はインターネットのURLを掲載してネット通販に応じているけれど、この版元はネットなど完全無視。つまりネットを駆使する世代や層は相手にしない営業方針なのだ。
「うーむ、高齢化社会ではエロもここまできたか」とぼくは感心してしまったのだけれども、それをネットで呟いたら「六十年代ヘアヌードで驚くなんてとんでもない。今は七十代八十代のヌードや動画が氾濫してます」と教えられた。
「本当かよ」と検索してみたら、そのとおりだった。熟女ヌードやAV専門のサイトには、ホントに八十代の超熟女がファックしている動画がちゃんとアップロードされていた。うわあああ。まあ、お勧めはしませんが、怖いもの見たい人は探してください。
 さすがに八十代は勘弁して欲しいけれど、六十代熟女ぐらいなら、これがなかなかそそられるんだねえ。確かに「年季の入った体」なんだけど、それが独自のエロで輝いているのを見ると「高齢熟女も悪くない」と思ってしまう。そういうエロを求める中高年はこれからもっと増えてゆく。これからは高齢熟女エロがますますブームになるに違いない。
 

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