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2015年7月19日 (日)

男子の性欲を抑える薬

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(イラストレーション by 中村成二)

 先日、ネットでとんでもないものを見つけた。いや別にエロでもなんでもない。しかしそんなものが見られるとは思ってもみなかった。
 ぼくが少年時代を過ごした札幌の家の、まさに自分がいた部屋の最近の様子が、あるウエブサイトにアップされていたのである。
 ぼくは東京の大学に進み、そのまま東京で社会人になった。家はその後、他人に貸し出されていて、去年、とうとう取り壊されてしまった。
 ところがその部屋を借りて事務所に使っていた建築家が部屋の内部をパノラマ撮影して、すみずみまで見えるような画像をネットに公開してくれていたのだね。多感な少年時代を過ごした勉強部屋はほとんど改装されないで、柱の傷もそのままだった。
 その部屋で過ごした少年時代の思い出がバーッと頭の中でバクハツ的に展開して、懐かしさで涙が出てきちゃったよ。インターネットの世界には、こういうこともあるんだよねえ。
 勉強机もそのまま置かれていたけれど、それを見たとたんに思い出したのは何かというと、それに向かって勉強しているうちに性欲がムラムラと高まり、ついオナニーに耽ったということ。いや、何回教科書の上に射精しちゃったことか。(笑)
 そうやって中学・高校時代のことを回想するにつれて思うのは「あの時、あんなにオナニーに没頭してなきゃ、もっと勉強ができたんじゃないかな。おれの人生も変わってたんじゃないかな」ということだ。もちろんいい方にだよ。
 男の子は、受験を控えて一番勉強しなきゃいけない時に性欲が強くなる。個人差はあるだろうけれど、性欲が強い男の子は、それだけで相当なハンディを課せられることになる。「意志の問題だ」と言われそうだが、ムラムラした場合、オナニーしないですますなんてまず無理だと思う(ぼくの場合)。これは親たちが見逃している深刻な問題点だよ。
 そこでふと思いついたのだが、そういう男子の性欲を抑える薬というのが発売されてもいいんじゃないか、ということ。調べてみたら女性ホルモンのブロゲステロンというのは協力な性欲抑制作用があり、たとえば小児性愛者の犯罪予防に使われる去勢剤なのだそうだ。本当に勉強に集中しなきゃいけない期間だけ、その薬があったら、ぼくはもっと秀才になれたかなあ、などと夢想するのだ。まあ性欲と一緒に勉強する意欲も無くなったら意味ないけれどね。
 

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2015年7月11日 (土)

マミーポルノが女を濡らす

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(イラストレーション by 中村成二)
『日本官能ノベル大賞』が第一回の応募を始めた、というニュースが目についた。「ほう、そう来たか」と思ったね。
 この賞はDVDレンタルの大手『TSUTAYA』と同一グループの出版社が創設したものだが、「プロの官能小説家を目指す女性によって書かれた「大人の女性が楽しめる官能小説」であること」というのが応募の条件。つまりぼくのような男性には資格がない。若い人に人気のライトノベルや、これまでも読まれてきたロマンス小説とはまた違った『女による女のための本格ポルノ小説」を求めたものである。
 ぼくが書いてる官能小説という分野は、打ち続く出版不況のせいであまり元気とは言えない状態が続いているのだが、そのなかで比較的元気なのが女性作家の手になる女性向け官能小説だ。イキのいい女性作家が排出し、沈滞した男性作家たちを尻目に「女流官能ブーム」をまきおこしている。
 そのブームの追い風になったのが、昨年公開されたアメリカ映画『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』の大ヒットだ。原作はイギリスの女性作家E・L・ジェイムズ。最初は電子書籍として売られ、紙の本と合わせたら累計発行部数が1億部を超える大ベストセラーになった。
 恋愛経験の少ないウブな女子大生アナスタシアが大富豪のクリスチャン・グレイと出会い、彼とSMの主従契約を結び、SMの世界にハマっていくというストーリー。一介の主婦の手によって書かれ、本も映画も主婦層の圧倒的な支持を得たことで、このような成熟した女性向け官能小説は「マミーポルノ」と呼ばれて世界的なブームになっている。
 日本では、本格的なポルノ小説を読みたい女性は男性作家が書いた男性向け作品から自分好みのものを探して読んでいた。ぼくの作品なんかわりと女性に好まれ2割か3割は女性読者だったのだが、やはり男性の読者を意識して書いているからね、女性を百パーセント満足させるのはむずかしい。その不満を満たしてくれるのがマミーポルノというわけで、これからは各社が競って女性ポルノ作家の発掘や養成に力を入れると思われる。
 ぼくとしてはマミーポルノに女性のお客をとられるのは痛いが、案外、その熱気が官能小説界全体を刺激してくれるかもしれない。もちろん、女性がもっと官能小説に目覚め、性生活も活発になれば男性も嬉しいわけで、まあマミーポルノの隆盛を期待しようではないか。

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2015年7月 4日 (土)

「白木屋の火事」はウソだった

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(イラストレーション by 中村成二)
 ぼくのようなおじさんが若い人と酒を呑んでると、おじさん世代に通じる言葉が若い世代には全然通じないことが多く、驚くというより、それを肴にして盛り上がることが多い。
 昨夜も居酒屋で呑んでたら和服姿の妙齢の女性がいたので、おじさんの一人が「彼女は美人だなあ。美人薄命かな」と言ったら、すぐに別のおじさんが「ヒップにラインが見えないから、白木屋の火事でしょう」と、まあ品のないことを言ったのだった。それを聞いて若い男性がキョトンとして「白木屋の火事……。何ですか、それ?」と質問した。さあ酒の肴である。
 さっそくおじさんたちが身を乗りだした。まずは日本橋にあった百貨店『白木屋』で昭和7年12月に火災が発生して、客や従業員が多数死んだ事件を説明する。
「この時、上の階からロープで降りようとした女性店員たちが、風で和服の裾がまくれてアソコが見えるのを恥ずかしがって、手を離して裾を押えたのが原因で転落し、何人もが死んだんだ。当時は若い女はたいてい着物で、下にパンツ——まあ当時はズロースと言ったが、そんなものは穿いていなかった。これがきっかけで、ノーパンだった日本の女たちは洋風下着を穿くようになった。というわけで『白木屋の火事』というのは、ノーズロ、ノーパンということなんだ」
 若い男性は「そうなんですか!」とびっくりして頷いていたので、下着研究家を自称するぼくとしては黙っていられない。「待て待て、それは都市伝説。真っ赤なウソなんだよ」と割り込まざるをえない。
 この事件に初めて疑念を抱いたのがフランス文学者の鹿島茂氏で、その話を聞いた風俗氏研究家の井上章一氏が丹念に取材した結果、「あの火災でそのような死に方をした女性店員はいなかった」という結果を発表している。詳しくは同氏の著作『パンツが見える』(朝日選書)に書かれているのだが、どうやら避難路を整備せず、避難訓練も実施していなかった経営陣が、自分たちの責任を逃れるためでっちあげた話を、当時の新聞がおもしろおかしく書き立てたせいらしい。日本の女性が着物の時もズロースを穿くようになったのはずっと後のことなんである。
「そうですよねー。生きるか死ぬかという時に恥ずかしいなんて考えないですよね」と納得した若い男性は「では『美人薄命』ってどういうことですか?」と質問した。それは……考えれば分かるだろ。

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2015年7月 2日 (木)

男が着るセーラー服

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(イラストレーション by 中村成二)
 六月になって、全国の女子中高生はいっせいに夏の制服になった。セーラー服のところは白い半袖の上衣が眩しい季節。なにせセーラー服少女大好きおっさんであるぼくは「ああ、いい季節が巡ってきたな」と、感慨もひとしおなんである。だからこの欄のネタにしたいのだが、毎年、同じようなことを書いてるので「それ、去年も書いたぞ」と突っ込まれそうで悩んでいた。
 そうしたらネットで面白い話が書き込まれていたので、今年はこれを紹介しよう。
 ぼくとフェイスブック友達のMさんは女装家でジェンダー評論家。男女の心理的な性別の問題を研究し大学で講義もしている。
 その彼女(というしかないが)がある大学で講義していて「女子中高生の制服として用いられるセーラー服の起源が、海軍の水兵服だということを知らない学生がかなりいて驚いた。『英語のセーラーって水兵のことじゃん』と思うが、どうも英語力の問題ではなく、両者をつなげる知識がないらしい」と書いていた。
「はあーそうなんだ」と感心していたら、それを読んだ別の人が「ある事件に貢献したとして、海上自衛隊の方がセーラ服姿で表彰されているのを見て『女装で公式の場にでている、すばらしい人だ』と評価した知人がいました」と書いて、そちらにもびっくり。
 つまりセーラー服は「少女が着る制服」としてだけ、今の若い人たちにイメージが刷りこまれているわけだ。うーむ、そのうち『ポパイ』は女装したヘンなオヤジ、ってことにされるかもしれないな。
 セーラー服とは、そもそもはイギリス海軍が水兵に着せるために採用したデザインで、当時は帆走だった艦上で動きやすく、海に落ちても泳ぎやすいように上衣の裾とズボンの裾がゆるくなっている。その動きやすさが買われて子供服になり、やがて学校の制服になった。以前は七五三のお参りに男の子がセーラー服を着ていたものだけどねえ。ぼくも子供の頃、セーラー服で母親に抱っこされている写真が残っている。
 しかし、どうして今の若い人は、セーラー服というと女子高生のものだと思ってしまうのだろうか。それは水兵、今なら艦隊勤務の海上自衛隊員の姿を目にする機会が無いからだろう。外国の軍艦が寄港した時など、セーラー服姿の水兵の姿を銀座で見ることがあるが、フランス海軍のセーラー服なんか、すごくシックだよ。海上自衛隊も「男が着るセーラー服」をもっとアピールしたらどうだろうか。

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