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2017年10月29日 (日)

耳たぶは噛まれるためにある?

 あるベテランの私立探偵が、自分のメールマガジンの中で職業上のテクニックをいろいろ教えてくれていた。その中で「へえ」と思ったのは「調査対象である本人を特定するには耳の形——特に耳たぶの形を覚えておくといい」というのがあった。
 特徴の似た人間がいて、うっかりすると本人と間違えて、そっちを尾行してしまう、というミスをやりかねない。そこであらかじめ調査対象者の耳たぶの形を覚えておくと、とっさの判断に大きく役立つというのだね。なるほど、探偵ならではの経験に裏付けられたテクニックだ。
 では、このテクニックを、たとえば迷い猫や迷い犬を探す動物探偵は応用できるだろうか。それはできないね。なぜなら犬も猫も、みんな同じ形で、しかも耳たぶがない。同じ酒類の猫を耳で見分けるのは至難の技ということになる。
 もうお分かりだろうが、今や男の子もイヤリングをたらしている耳たぶというのは、他の動物には無いのである。人間に近いサルやゴリラなどを見ても、耳たぶはない。哺乳類動物のなかで、なんと耳たぶをもつのは人間だけなんである。
 ——という話を動物作家の戸川幸夫さんが『ヒトはなぜ助平になったか』(講談社、1985)という書に書いていた。これはちょっとした発見である。なぜ人間だけが、耳の下のほうに、指でつまむのにちょうどいいぐらいのたぷたぷした肉がついているんだろうか。まさかイヤグリングをつけやすくするためではないだろう。
 戸川さんは動物学者ではないけれど、作品のために動物のことをずいぶん研究した人だ。いろいろ考えた末こう書いている。
《人間は直立歩行するようになったために、生殖器の位置が前へと移っていった。そのために性行為の体位も変化し、いわゆる「正常位」をとるようになった。この姿勢は顔と顔を向かい合わせることになるから、接吻が発達し耳たぶへの愛噛(あいこう)となった、と私はみている》
 なるほどね、動物はもっぱら後背位でセックスしていた。ヒトは向かい合って正常位でセックスするようになると、口や歯を使って相手の顔を舐めたり吸ったり、傷つけない程度に噛んだりするようになった。そのおかげで耳たぶが発達した、というんだね。仮説だけど信じられそう。ところでキミは、セックスの時ちゃんと相手の耳たぶを噛んでやってるかい?

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