« 「ジン」を呑まされた子供 | トップページ | 元祖PLAYBOYはSМ嫌い »

2017年10月29日 (日)

エイズ、恐怖の時代

 ネットで「エイズ、ついに撲滅か」という記事が目についた。アメリカ国立衛生研究所がハーバード大学などと共同研究して新しいHIV抗体の開発に成功したと発表したのだ。エイズの原因となるウィルスの駆除、感染予防がサルを使った試験で駆除率99パーセントの効果を発揮することが確認されたという。人間に対する実験はこれからだが、もし成功すれば我々はようやくエイズの恐怖からのがれることが出来る。
 今でも三種類の抗体を組み合わせた薬で、患者は発症を遅らせたり防ぐことが出来るので、エイズはかつてのように致命的な恐ろしい病気ではなくなっている。そのせいもあってか、日本ではエイズ患者はなかなか減らない。あんまり安心させられても困るのだね。
 日本で初めてエイズ患者の死亡が確認されたのが1985年。その頃の日本人はエイズの恐怖で震えあがっていた。当時のことを知らない人も多いと思うので、どれだけ恐れられた病気だったか、ある知人のことを思い出したのでここに記しておこう。
 その男性は海岸の町に住んでいた。ぼくのSМ小説のファンだということで手紙をくれて、その嗜好や体験が興味深かったので実際に何度か会ったことがある。自分の妻が他人に犯されるのを見るのが好きだというので、3Pの取材もさせてもらった。ちょうどエイズの恐怖が広まった頃である。
 その彼がある日、電話で「どうも体調がおかしい。エイズにかかったようだ」と言ってきた。彼は女装した男性とセックスするのも好きで、仕事でアメリカに出張した時はかなり派手に遊びまくったらしい。赤の他人を巻き込んだセックスもハンパな数ではない。
「気のせいじゃないか。検査してもらいなよ」と言うと「もしエイズだと分かったら生きてられない。怖くて検査を受けられない」と答えた。当時はホントに「死の病と思われていたからね、そういう人が多かった。
 やがてまた電話があった。「検査を受けてきた」と言う。「結果を聞く前は、もう覚悟していて、自分の車を病院の前で停めて、エンジンはかけっぱなしにしておいた。陽性だと言われたら、その車ごと海に飛び込んで自殺するつもりだった」
 ぼくは安心した。ということは陰性だったわけだ。「よかったね」と言ってやると「もう赤の他人をまきこんだセックスはしない」としみじみと告げてきた。それぐらい恐れられた時代だったのだ。彼はいまどうしているかなあ。

|

« 「ジン」を呑まされた子供 | トップページ | 元祖PLAYBOYはSМ嫌い »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。