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2018年4月 1日 (日)

逢えなかったマゾ美人

 少し前にここで『日本人特有の「沈黙セックス」』という記事を書いた。国際セックス事情評論家の渡辺ひろ乃さんが「日本人の無言のセックスは異常」と指摘し「外国ではセックスの前にカップルは打ち合せする」という発言を紹介したのだが、これがМXテレビ『五時に夢中』で取り上げられた。スタッフが成田空港にレポーターを行かせ、来日した外国人カップルを片っぱしから捕まえて「あたなたちはセックスの前に打ち合せをするか?」と質問しまくったのだ。
 その結果、驚くなかれ70パーセントのカップルが「する」と回答した。渡辺ひろ乃さんの発言は正しかったのだ。ぼくら日本人はやる前からもう無言なのである。黙って始めて黙って終わる。それでいいのか。
 そのことでふと思い出した。「T先生は、その点、すごい打ち合せ人間だったろうな」
 T先生というのはもう故人だが、ぼくに多大な影響を与えた先輩SМ作家だ。関西方面に住んでいたので年に何回しか上京できず、お会いしたのは数回だが、該博な知識をお持ちで私生活でも数奇なエピソードが多い人で、いつも楽しい時間を過ごしたものだ。
 実はT先生、東京にSМのパートナーがいた。先生の熱烈なファンだった人で、当時は三十代後半だったろうか。先生も彼女の存在を秘密にしていたから、ぼくは一度も会ったことはない。それでも仲をとりもった人の話ではそうとうな美人で裕福な家に育ち、独身ながらお店の経営者でもあった。しかも強いマゾの資質があったのでSのT先生にしては理想のプレイパートナーであったろう。
 まだ携帯もメールも無い時代、先生と彼女は手紙で連絡をとりあっていた。先生は小説家だから、作品にぶちまけていた欲望を現実の彼女で満たすため、今度会う時はこうしたい、ああしたいという打ち合せの手紙はそうとうな枚数で、ひんぱんにやりとりされたらしい。その打ち合せのおかげで短い逢瀬の間に充実したプレイを満足されたようだ。
 しかし不幸なことに先生は急逝されてしまった。少しして、仲をとりもった人から「彼女のマゾの血を慰めるため、新しいパートナーになってもらえないだろうか」と打診があった。これが全然知らない人だったら一も二もなく引き受けたかもしれないが、恐れ多くもT先生のパートナーだった人だから、ぼくは勇気がなく辞退してしまった。結局、会わず仕舞いの女性だったが、今になって、ちょっと後悔するようなしないような妙な感情が湧いてくることがある。会っておけばよかったかなあ……。
 

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