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2018年5月13日 (日)

オランダ人のセックス感は驚異だ

 何週か前のこの欄で「性教育にAVを使う国」と題して、デンマークの性教育のことを書いた。デンマークなど北欧諸国は、セックスについては非常に寛容で自由な考え方をする国々として知られているが、実は世界で一番、セックスに対して規制の少ない国はオランダである。
『飾り窓の女』で知られるオランダの売春は、一応の規制はあったものの、ずっと黙認されてきた。それが2000年には完全合法化されて、売春婦は自営業として公認された。今では16歳になれば誰でも売春婦として稼ぐことが出来る。
 まだ世界的には「売春は非道徳的な行為である。倫理的に認められない」と考える国が多数なのに、オランダは「売春したい人の権利を制限するのは違法である」と考えるのである。発想の仕方が反対なんである。その根本には「売春というものは法律で規制しても無くならない。人間には必要なものなのだ」という思想がある。日本人は思っても絶対言わないことを平気でやってのける国民なんだろうね。だから同性婚などLGBTの問題も世界で真っ先に解決している。
 まあ、最近は各国もどんどん自由で寛容な考えかたをするようになったから、売春合法化ぐらいでは驚かなくなったけれど、実はどんな進歩的な人間も腰が抜けてしまうようなシステムをオランダは採用しているのだね。
 三年前のことだが、オランダの法務大臣と運輸大臣は「運転免許をとるための教習料をセックスで代替することは違法ではない」と声明したのである。どういうことかというと、オランダの運転教習は教習所に通うのではなく、個人的に営業している教習員を選ぶようになっている。その際、教習員と話し合いで、セックスの相手をすることでお金を払わず、教習を受けて免許がとれる——というのだ。たぶんそうしていた教習員が訴えられたりしたのだろうが、オランダ政府は「それは売春ではない。合法だ」と言ってのけたのだ(ただし、生徒の側から申し出ることはできないらしい)。
 いや、このことが報じられた時は「ホントかよ」と思ったね。こんな制度を認めたら、次にいろんなビジネスで同じことが起きる。それで社会が成り立つのかと心配になる。まず「美人だけが優遇されるなんて許せない」という声があがりそうだ。しかし、オランダ国民は案外、平然として受け入れてるようだ。
「セックスはお金に換算できる。それは必ずしも売春ではない」と考える国があるというのは、うーむ、かなり考えさせられることではないか。
(この記事は九州スポーツ5/3付の号にのみ掲載されました)

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2018年5月12日 (土)

セクハラはやめられるか

 最近、有名人や官僚などのセクハラ事件が騒がれているが、それについて思い出すのは、非常に個人的なことだが、ぼくが過去に書いたポルノの短編小説だ。その題が『セクハラ・カンパニー』というのだ。
 その頃、流行していたイメクラと呼ばれる風俗店では、さまざまな衣裳を着けた女性が接客するコスチューム・プレイの店が多かった。そういうプレイが嫌いではなかったぼくは、コスプレ風俗店のアイデアをいろいろ考えては作品にしていた。『セクハラ・カンパニー』もそういうジャンルの一つだった。
 なに、お相手するイメクラ嬢がOLの制服を着て接客するだけのことだが、プレイルームは会社のオフィスという感じにし、客は「部長」でも「社長」でも、好きな肩書きで呼ばせることができる。
 もうお分かりだろうが、男性の客は仮想現実のオフィスでOLの上司となり、制服姿の彼女に好き勝手なセクハラ行為をしかけ、最後はお仕置きプレイで満足する——という遊びが出来るイメクラなんである。
 そんなアイデアを思いついたというのも、社会的にセクハラが糾弾されるようになっていたからだ。世の男性サラリーマン、ビジネスマンはそのことで不満がつのっているのではないか、だったらそれを解消させるようなプレイが出来るイメクラを作ったらいいじゃないか、と、まあ荒唐無稽だと思いながら書いたのが『セクハラ・カンパニー』である(ネットで探せば今でもダウンロードして読める)。
「あれはいつの頃だったか」と調べたら、驚いたことに1992年のことであった。なんと26年も前だ。その頃から社会はセクハラ問題でいろいろ騒いでいたのだね。しかしそれだけ時間が経過しても、セクハラ問題はまったく減りはしない。
 ぼくは根本的にSМ作家だから、セクハラ問題はSМ関係としてとらえている。言うまでもないがセクハラはパワハラとセットになっている。力があり立場が強いほうが弱いほうをいじめる。男と女の関係では、それはSМ行為に他ならない。地位を利用して女性をいじめて楽しむというのは、サドの男の、形を変えたSМプレイなんである。
 他人を力で押さえつけ、支配することで快感を味わえば、それはクセになる。だから一度セクハラをやったらやめられない。つまり痴漢と同様、依存症の一種なのだ。よほど痛い思いをさせない限り、セクハラはやめさせられない——というのがぼくの考えだ。

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勃起薬は正しく使え

 最近の『週刊プレイボーイ』を読んでいたら、ちょっと驚いた。「この人でも誤解してるのかなあ」と思ったからだ。
 みうらじゅんさんと宮藤官九郎さんがエロについて語りあう『大人になってもわからない』という連載対談。その号は『チ○コは何歳まで勃てば許してもらえるのか?(前編)』と題して、今年1月に60歳還暦を迎えたみうらさんが、勃起薬について自分の体験を語っていた。
「生まれてこのかた、エロいことしか考えてこなかった」と豪語(?)するみうらさんは、50代半ばから自分の勃起力の衰えを感じるようになっていた。ところが還暦を迎えるまぎわ、友人から勃起薬をもらった。
「この薬を飲むとチ○コがギンギンになるのはもちろん、びっくりするぐらい気持ちが若返る」と言われて喜んだみうらさんは「これさえあればいつでも大丈夫」と信じ、お守りとしていつも持ち歩くようになったという。
 ところが3ヶ月後、実際に飲んでみたら「まったく効かなかった。目安の4時間になってもムラムラもせず待てど暮らせどチンコはぐねんぐねんのまま」という有り様で、お守りに裏切られた感じでショックを受けたと告白している。その部分でぼくは「あちゃ〜」と思ったのである。
「オレンジ色の大きい錠剤」というから、たぶんレビトラだと思うが、いずれにしろバイアグラを代表とするPDEー5阻害剤と呼ばれるED治療薬の仲間だろう。これらの薬は「ペニスに送りこまれた血液を出てゆきにくくする」という働きによって勃起を維持させるもので、飲んだからといって自然にムラムラしたり勃起したりするものではないのだ。
 だから男性は、この種の勃起薬を飲んだら、まずは自分で刺激するか相手に刺激してもらってペニスを勃起させることが必要なのだ。そうやって一度ギンギンになると、男性が一番心配する「中折れ」が起きにくく、一度射精した後も勃起が持続し、二度、三度とチャレンジできる。そういう使い方を知らないと、みうらさんのようにガッカリして、ますます勃ちにくくなってしまう。これだけはぜひ覚えておいてほしい。
 最後にもう一つ。今は無数のジェネリック薬が市販されているけれど、正規のルートで購入しないと、形と色だけはホンモノそっくり、中身は小麦粉というニセモノが多い。みうらさんも案外、ニセモノにだまされたのかもしれないね。ご用心。

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不倫という雷に打たれたら

 少し前のことになるけれど、頭の中に残って「これはいいなあ」と思う言葉があったので、ここで書いておきたい。NHKの『あさイチ』に2月に出演した瀬戸内寂聴さんが、有働アナの不倫についての質問に、こう答えたのだ。
「不倫って、しようと思ってするもんじゃなくて、雷のように落ちてくるんですよね。だから当たったら仕方ない」
 今の若い人には、寂聴さんって「いつもニコニコ笑っているお婆さんのお坊さん」だと思われているかもしれないが、かつては瀬戸内晴美という名で男女のドロドロの性愛を描いて「子宮作家」と呼ばれたほどのベストセラー作家だった。ぼくなど足元にも及ばないけれど、官能作家としては大先輩にあたる。しかも美人で行動的。男性を狂わせた経歴もハンパじゃなかった。その人の口から出た言葉だからねえ、これはそこらへんの偽善的なジャーナリズムの論調なんか吹っ飛ばしてしまう迫力がある。
「(マスコミは不倫のことを)ちょっと書きすぎね。あんなに言わなくたって、書く人だってやってるんですよ」と言われては有働アナも思わず頷いてしまったじゃないか。NHKの主婦向け番組で、あれだけ堂々と正論(?)を言ってのけられるなんて寂聴さんしかいない。まったく感心してしまったね。
 そうなんだよ、不倫であってもなくても、恋愛は雷のように落ちてくる。そうなったら逃れられない。世の不倫経験者はみんな大きく頷いたに違いない。寂聴さんはさらに言う。
「不倫が無くなったら名作小説なんて無くなっちゃう」 確かに。『源氏物語』の昔から不倫の愛があるからこそみんなに読まれてきた。ぼくのような官能小説作家も飢え死にしてしまうよ。
 そこで思い出すのは、ある私立探偵が自分のブログで書いていた言葉。何百組という不倫カップルを調査した彼は「不倫のなかには良い不倫もある」という事実を発見したという。不倫というとドロドロの性愛地獄のなかに落ちてゆくダメな男女を連想するが、そういうカップルばかりではない。「互いに相手のことを思いやり、我慢する時は我慢して、お互いが相手を高めあってゆく不倫というのもあるのだ」と報告する。
 そうなんだよ、二人だけの秘密を守り抜き、お互いの家族を大事にして死ぬまで心が繋がった愛もある。不倫だ不倫だ、悪いやつらだと批難する人間よ、おまえだっていつ不倫という雷に打たれるか分からんのだよ。

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女の匂いを研究せよ

「これで、官能小説も匂い表現が変わるかな」と思ったのは、先日、公表された、女性の匂いについての研究結果を読んでのこと。
 この研究はロート製薬が行なった『女性の体臭変化』。いろんな年齢の女性の背中に一定面積の布を24時間貼り付け、それを専門の人間が嗅いで、5種類に分類した匂いの強さを数値にしたというもの。
 そうすると10代から20代の女性にはスイート臭と呼ばれる甘い匂いが強いことが分かったという。この独特の体臭成分は熟女には失なわれて、その分岐点が35歳だということも分かった。
 つまり体臭という観点からみれば、女性は35歳を境にして甘い匂いがしなくなるということだ。まあ、言われなくても性体験が豊富で、嗅覚が敏感な男なら「とっくに知ってるぜ、そんなこと」と言うかもしれない。
 しかし、彼らに「では、どういう匂いなのか説明してくれ」と言ったら、たぶん、言葉に詰まるだろうと思う。
というのは、日本語は匂いについての表現が貧弱だからだ。ぼくら官能作家が官能小説、ポルノ小説を書いていてホントに悩むのはその部分、つまり女性の体から発散する官能的な体臭の表現だ。たいてい「甘酸っぱい」ぐらいで片づけている。「服を脱がすと若い娘の甘酸っぱい体臭が男の興奮を煽りたてた」というふうに。中には「パンティを脱がすと熟女の匂いが立ちこめた」ですましてしまう作家も。「若い娘の匂い」「熟女の匂い」がどういうものか、まず説明されることがない。それぐらい匂いの表現は難しく、表現しにくい。
 ところがロート製薬の研究結果では、若い女性のスイート臭の成分は、ラクトンC10,、C11と突き止められた。ラクトンは化粧品などの香料として用いられる化合物だから、その特性はわかっている。すなわちC10はピーチ(桃)の、C11はココナツのような、あるいはキンモクセイの花のような匂い。
 これで「その女の肌からはキンモクセイの花のような芳香がした」などと官能作家は書きはじめるに違いない。(笑)
 まあ、肌からは他にもアンモニア臭や脂肪酸臭などが匂うので、もっと複雑な匂いになるのだが、描写する方向性が見えてきたことになる。作家でない男性も、若い娘の肌の匂いと、熟女の肌の匂いがどう違うか、これからはよく嗅ぎ分けて、自分なりに研究してみると面白いと思うよ。

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性教育にAVを使う国

 先頃、「まだそんなことを言ってるのか」と呆れかえった報道があった。東京都足立区の区立中学で三年生の生徒を対象に行われていた性教育の授業に対し、都議会の自民党議員が難癖をつけ、それにより東京都教育委員会から区教委に対して指導が行われることになったという。
 議員が問題視したのは、性教育の授業のなかで「性交」「避妊」「人工妊娠中絶」という言葉を使い、説明した点にあるという。これらの言葉は中学の学習指導要領にはないもので、都教委は「高校で教える内容だ。中学生の発達段階に応じておらず、不適切」と断じた。これに対して足立区の教育委員会は「十代の望まぬ妊娠や出産を防ぎ、貧困の連鎖を断ち切るためにも、授業は地域の実態に即して行われ、生徒と保護者のニーズに合ったものだ」と反発しているが、都教委と都議会にバッシングされては勝負にならない。生徒に正しい性知識を与える機会は失なわれてしまう。
「そういう知識は高校生になってからでいい」と言うが、現実では、知識のないままセックスしてしまい、感染症や妊娠に悩み、苦しむ中学生はいるのだ。まったく救いようのない大人たちだ。
 そういう、時代に逆行した政治や行政の姿勢を批判するサイトからの情報を見ると、たとえばデンマークでは5歳の時から性教育が始まり、中学生ではかなり具体的なセックス情報を与えられる。驚いたことに、いま「授業にAV=ポルノビデオを導入しよう」という計画が進められている。「AVの中で行われていることと現実のセックスの違いをきちんと教えるべきだ」という考えからだ。分かるねえ。何も知らない時期にAVや別のポルノを見て、誤ったことを覚えたままセックスに突入してしまう若者にならないようにしよう——という配慮は、それこそ少年少女たちのことを考える大人の態度だ。
 話は変わるが、ぼくらおじさんが中高生だったころは、ロクな性教育は受けられなかった。今は還暦を迎えた女流官能作家のAさんなど、「女子高時代、生まれて初めてキスをしたあと、妊娠しないかと死ぬほど心配した」と言っていた。それぐらい性の情報を禁じられて育ったのである。「子供にセックスのことを教えるな」と噛みつく保守的な議員や都教委は、少年少女をAさんの時代のような環境に押し込めておきたいのだろうか。
「セックスのことを教えると実行したくなり堕落してしまう」と考えてるのだろうが、教えないでおくと余計悲惨な事態を招くことが世界中の調査で分かっている。まったく困った奴らだぜ。

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「春の目覚め」は遅いほうがいい?

 先日、「神スイング」で知られるタレントの稲村亜美ちゃんが、少年野球の開会式で始球式に登板したところ、周囲で見ていた中学生の野球少年たちが彼女に殺到、揉みくちゃにするという騒ぎがあった。ツイッターで「触った」と自慢する投稿もあり、多くの大人は「これは集団痴漢じゃないか、けしからんガキだ」と怒ったり嘆いたりしたものだ。
 すると某A新聞で、生物学者の福岡伸一氏がこのことについて書いた文章が目についた。やはり動物を研究している学者だから、違った見方をしている。それは「なぜ思春期の少年たちは急に色気づくのか」という疑問から始まる。
 氏によれば、ヒトに近い霊長類を含め、生物というのは徐々に、しかしわりと早めに性的成熟をするのがふつうで、ヒトの思春期のように劇的な心身の変化は無いんだそうだ。つまり人間の場合、わりと長い「子ども時代」を経て、中学生になった頃、男子はようやく陰毛やヒゲが生え、射精現象を経験し、異性を強く意識する。そしてある瞬間、きれいなお姉さんの肉体に夢中になって我を忘れてしまう。学者からすれば「そうなるまでが遅すぎる」というのだ。
 言われてみれば確かに人間の子ども時代は長い。男子も女子も、完全な性的成熟(セックスして子供をつくる段階)に達するまで10数年かかる。種の保存という観点からすれば「大丈夫か」と心配になるぐらい遅い。その理由を福岡氏はこう説明する。「それは色気づいて目が曇ってしまわない前に学ぶことが多いからだ。大人になれば生計をたてパートナーを探し敵を警戒し縄張りを守らなければならない。対して子どもだけには遊ぶことを許されている。闘争よりはゲーム、攻撃よりも友好、防御よりも探検、警戒よりも好奇心、現実よりは空想。そういった遊びの中で脳が鍛えられてヒトはヒトになった」
 つまり色気づく前に思う存分遊べる時代があったから今の人間の文明文化があるわけね。つまり「純真無垢な少年時代」が長いほど、その子どもは豊かな人生を送れる、ということだ。
 うーむ、ぼくなんかオナニーを覚えたのは6歳ぐらい、9歳で初射精した。以来、エロしか関心がなく、充実した子ども時代なんかなかったなあ。だからエロ作家になってしまった。まだ色気づかない少年少女たちよ。セックスのことなんか後回しで、もっと子どもらしい遊びに夢中になれよ——って、ここの読者に言ってもムダか。(笑)

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