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2018年5月12日 (土)

性教育にAVを使う国

 先頃、「まだそんなことを言ってるのか」と呆れかえった報道があった。東京都足立区の区立中学で三年生の生徒を対象に行われていた性教育の授業に対し、都議会の自民党議員が難癖をつけ、それにより東京都教育委員会から区教委に対して指導が行われることになったという。
 議員が問題視したのは、性教育の授業のなかで「性交」「避妊」「人工妊娠中絶」という言葉を使い、説明した点にあるという。これらの言葉は中学の学習指導要領にはないもので、都教委は「高校で教える内容だ。中学生の発達段階に応じておらず、不適切」と断じた。これに対して足立区の教育委員会は「十代の望まぬ妊娠や出産を防ぎ、貧困の連鎖を断ち切るためにも、授業は地域の実態に即して行われ、生徒と保護者のニーズに合ったものだ」と反発しているが、都教委と都議会にバッシングされては勝負にならない。生徒に正しい性知識を与える機会は失なわれてしまう。
「そういう知識は高校生になってからでいい」と言うが、現実では、知識のないままセックスしてしまい、感染症や妊娠に悩み、苦しむ中学生はいるのだ。まったく救いようのない大人たちだ。
 そういう、時代に逆行した政治や行政の姿勢を批判するサイトからの情報を見ると、たとえばデンマークでは5歳の時から性教育が始まり、中学生ではかなり具体的なセックス情報を与えられる。驚いたことに、いま「授業にAV=ポルノビデオを導入しよう」という計画が進められている。「AVの中で行われていることと現実のセックスの違いをきちんと教えるべきだ」という考えからだ。分かるねえ。何も知らない時期にAVや別のポルノを見て、誤ったことを覚えたままセックスに突入してしまう若者にならないようにしよう——という配慮は、それこそ少年少女たちのことを考える大人の態度だ。
 話は変わるが、ぼくらおじさんが中高生だったころは、ロクな性教育は受けられなかった。今は還暦を迎えた女流官能作家のAさんなど、「女子高時代、生まれて初めてキスをしたあと、妊娠しないかと死ぬほど心配した」と言っていた。それぐらい性の情報を禁じられて育ったのである。「子供にセックスのことを教えるな」と噛みつく保守的な議員や都教委は、少年少女をAさんの時代のような環境に押し込めておきたいのだろうか。
「セックスのことを教えると実行したくなり堕落してしまう」と考えてるのだろうが、教えないでおくと余計悲惨な事態を招くことが世界中の調査で分かっている。まったく困った奴らだぜ。

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