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2019年9月23日 (月)

同性愛について日本が誇れること

 憲法を擁護する人たちは「第二次大戦後、70年以上にわたり、日本は戦争で一人も殺されていない。こんな国は非常に珍しい。戦争を禁止した日本国憲法はわが国の誇りである」。
 この言葉を読み聞きするたび、ぼくは「日本には、もう一つ、誇れるものがあるぜ」と思うのだ。それは同性愛に対する刑法の扱いである。
 というのも、この間、『イミテーション・ゲーム』を見た時、ちょっとした驚きを味わったからだ。映画ではベネディクト・カンバーバッチが演じたが、のちのコンピューターの原形となる暗号解読プログラムを作り「コンピューターの父」とさえ称されるまでの天才的数学者チューリングの伝記映画である。
 映画ではチューリングが英国政府の依頼を受けてドイツ軍の暗号『エニグマ』を自作の計算機で解読し、おかげでドイツの潜水艦を多数撃滅し、自国の艦船や兵員の命を救うことが出来た。その知能によって母国の勝利に貢献したから、英雄と賞讃され、勲章を授与されておかしくないのだが、暗号解読技術は高度の軍事機密だったので、チューリングの功績は秘密にされて世に知られることがなかった。それだけでもひどい扱いなのに、のちに彼は「同性愛者である」ということを理由に官憲に逮捕されてしまう。第二次大戦後のイギリスでも、同性愛は「犯罪」だったのであるね。刑務所行きを逃れるためには女性ホルモンを服用する「薬物去勢」という措置を受けねばならず、後者を選んだチューリングは精神が不安定になり、ついに自殺してしまう。これには呆然としてしまったね。イギリスという国家は、自国を救った天才的英雄をゲイであるというだけで、死に追いやったのである(最近になってイギリスはチューリングの名誉を回復した)。
 しかし同性愛を憎み、禁じ、罰する国は今だに多い。つい最近もブルネイ王国では「同性愛の性交で有罪となったとき、石打ちによる死刑を科す場合もある」という法律を布告して、LGBT運動を加速させる世界を驚かせた。キリスト教国やイスラム教国、さらに社会主義国のなかでは、同性愛者はうっかりすると投獄されたり死刑にされたりする危険がある。
 そこで日本である。わが国では仏教が伝来して以来、稚児つまり少年とセックスする風習が根付き、それは武士階級から一般庶民まで広まり、同性愛が禁じられたり、処罰されたりすることは一度としてなかった。日本は「同性愛者」を処罰しない、世界でも有数の人権国家だったのだ。まあ法律とは別に差別意識がまだまだ多いのは、残念なことであるけれども。
(2019年6月29日付号)
 

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